地震の概要
前震
発生時刻:2016年4月14日 21時26分
震源:熊本県熊本地方(深さは11㎞、北緯32度44.5分、東経130度48.5分)
震度:熊本県益城町で震度7 マグニチュード6.5
本震
発生時刻:2016年4月16日 1時25分
震源:熊本県熊本地方(深さは12㎞、北緯32度45.2分、東経130度45.7分)
震度:熊本県益城町、西原村で震度7 マグニチュード7
被害:死者267人(関連死含む) 家屋の倒壊や土砂災害による犠牲者の他、エコノミークラス症候群などの関連死が多数。
地震の特徴
震度7の前震の2日後に震度7の本震が起きたこれまでにないケースの地震。直下型地震。
MEGA 地震予測による見解
JESEAは地殻の隆起・沈降を注意深く観測しています。地殻の沈降は地震につながるケースがあるからです。東日本大震災の前には東北地方の太平洋岸は大きく沈降していました。その他大きな地震の前にも地殻が沈降することが多いです。
熊本地震の場合も約1カ月位前から熊本地震の震源の周辺が沈降しておりました。左のグラフは近傍の電子基準点のデータです。阿蘇以外の点は沈降しています。阿蘇は火山活動の影響で傾向としては隆起しています。特に菊池は3か月半前に顕著な沈降が見られました。阿蘇以外の4点は地震の前にわずかですが隆起に転じています。沈降傾向が続いたあとで隆起に転じる時は、経験則から地震に繋がることが多いです。(グラフの点線は近似曲線)
水平変動図&隆起沈降段彩図
この図は、熊本地震が起こった際のGPS衛星データを解析したものです。色の濃淡は、地震時の地表の隆起と沈降を示します。熊本市周辺は約15センチ沈降したのに対して、その右隣の長陽周辺は約25センチ隆起し、さらに右上(阿蘇山周辺)では沈降、さらにその右上(大分県湯布院周辺)も沈降したことがわかります。
次に、矢印を見てください。矢印は、地表が水平にどの方向へ変位したか、つまり、どの方向へ動いたかを示しています。これを見ると、同じ九州のなかでも、さまざまな方向に矢印が向いていることがわかるでしょう。
九州の右上、福岡・大分北部エリアは、矢印が全て北方向へ向いています。その下の大分中部・南部エリアは、南西方向へ矢印が向いています。九州南部の宮崎・鹿児島エリアは、南方向へ矢印が向いています。視線を上に移すと、九州西部の長崎・佐賀・熊本エリアは南東方向に矢印が向いています。このように、九州のなかにもいくつかのブロック=「塊」があり、それぞれの「塊」ごとに同じ方向へ動いていることがわかりました。
ここから類推できるのは、地震は「断層」、つまり「線」が動くことで起こるのではなく、このような「塊」が動くことでその境界部にひずみが溜り発生するのではないかという仮説が成り立ちます。この塊のことをミニプレートと名付けました。この仮説からミニプレート理論へと発展していきました。
村井教授のコメント
熊本地震の震源の深さは10kmと浅く内陸直下型地震でした。電子基準点から観測された高さの変動は約1年前から沈降傾向が続いていました。小さな隆起と沈降を繰り返しながら長期的には明らかに沈降傾向でした。このような沈降傾向が隆起に転じる時が一番危険な状態なのですが、グラフは正にこの危険な兆候を示していました。