最大震度7
東日本大震災は、日本周辺で起きた観測史上最大の地震であり、JESEAを設立する大きなきっかけとなった地震です。JESEAの共同創業者であり、「MEGA地震予測」の解析を行う村井教授は、以下のように話しています。
「私は東京大学を60歳で退官した後、『GPSデータと地震発生との相関関係』の研究を始めました。それから10年近くが経過した頃、2010年秋から2011年初めにかけて、これまで見たことのない異常なデータ(地殻変動)を目にしました。『これは大きな地震が来るかもしれない』と思いましたが、当時の私には、発信する術がありませんでした。結果、未曾有の大災害・東日本大震災が発生し、多くの尊い命が失われました。科学者として、私は悔悟の念に苛まれました。それを機に、私は“残りの人生を地震予測に懸ける”ことを決意し、JESEA設立に至りました」
JESEAの設立は2013年のため、東日本大震災の予測はしていません。しかし後世への伝承を目的に、後追い検証を実施。東日本大震災の発生前に見られた「異常変動」および「前兆現象(プレスリップ)」について、科学的に分析した結果をここに報告します。
地震の概要
発生時刻:2011年3月11日 14時46分
震源:東北地方三陸沖の太平洋(宮城県牡鹿半島沖東南東130㎞の海域。深さは24㎞、緯度38度6.2分、東経142度51.6分)
震度:宮城県栗原市で震度7、宮城・福島・茨城・栃木の4県36市町村と仙台市内の1区で震度6強を観測。マグニチュード9.0
被害:死者1万5895人、行方不明者2539人、負傷者6156人。最も被害が多かったのは宮城県で、次いで岩手県、福島県
津波浸水域:6県におよび約535平方キロと広い面積が津波により被災。家屋だけでなく、町全体を呑み込んだ津波によって生じた、がれきの総量は約600万トン
1. JESEAが独自に調査し判明した、地震が起きたメカニズム
これまで東日本大震災の起きたメカニズムは、東北地方が乗る陸側の「北米プレート」が「太平洋プレート」に引きずられ、ひずむが発生したことが原因(プレート境界型地震)であるとされていました。しかし今回、JESEAが独自に調査をした結果、異なる見解に達しました。
JESEAは、測位衛星データの変動解析から「地体クラスタリング」と呼ばれるデータ解析を実施。日本列島がそれぞれ、均質な動きをする〝複数のミニプレートで構成されている〟ことを突き止めました。すると東日本大地震において、特に被害の甚大だった、岩手県および宮城県の海側、北上山地の近辺は、ミニプレート(以下、北上ミニプレート)の地点と重なることがわかりました。
JESEAの調査結果としては、以下の図からもわかる通り、東日本大震災は、「北上ミニプレートが東南東に大きく滑ったことが原因である」と考えられます。
2. 地震発生時、および発生後の地殻変動について
3. 地震発生の前に見られた異常変動(プレスリップ)について
もしまた、同じような異常変動が発生した場合、その地域は「遠くない未来、大地震が発生する可能性が高い」とJESEAは考えます。そうした異常をいち早く捉えるために、JESEAは365日24時間、日本の地殻を監視し、“異常変動”や“プレスリップ”が発生していないかを確認しています。そしてその事実を広く伝えるために、アプリ「MEGA地震予測」を通して、日々発信し続けています。
東日本大震災から10年近い日が流れた現在も、「大地震の発生を防ぐ方法」は見つかっていません。しかし防ぐことはできなくても、そのときに「備える」ことはできるはずです。JESEAは今後も地震予測の研究を続け、震災によって多くの命が失われることのない未来の実現のために、予測精度の向上に邁進していきます。