村井俊治の部屋

「村井俊治の部屋」オーロラ・惑星直列・接近が起きたら地震が起きる

執筆:村井俊治、JESEA取締役会長、東京大学名誉教授

※本稿は「MEGA地震予測」のコラムにて配信中の「村井俊治の部屋~どこかで大地震が起きる前兆とは?」をブログ用に再編したものです。

第5報:オーロラが現れたら地震が起きる

配信:2022.08.10

オーロラは、北極や南極に近い緯度の角度の小さな極域で現れます。 いつも現れるわけでなく、太陽活動がじょう乱を起こして磁気嵐などが出ると現れます。 太陽風のプラズマ(気体の分子が陽イオンと電子に分かれた状態)が地球の磁力線に沿って高速で降りてきて 大気に含まれる酸素や窒素の原子を励起して発光すると言われています。
カナダやノルウェイなど12所のオーロラ観測所でオーロラを観測しています。 オーロラの強度はnT(ナノテスラ)と呼ばれる磁気を表わす指標で計測され、京都大学が、 オーロラエレクトロジェット(AE)と言う項目でネット配信してくれています。
私は、AEは磁気強度と連動するので、地磁気と地震の間に高い相関があるなら オーロラの指標であるAEも地震と相関があるに違いないと感じました。 そこでJESEAのスタッフに毎日AEのグラフを確認してもらうと同時に、 過去の大地震の前に大きなAEが現れたか否かを調べてもらいました。
結果は私の勘通りで大地震の前にはAEの異常なじょう乱が現れていました。 2011年3月11日の東日本大震災の10日前の3月1日と地震前日に-1000nTを下回る大きなじょう乱が出ていました。 2016年4月16日の熊本地震の14日前と9日前と3日前に大じょう乱が出ていました。
世界では大地震で知られている2004年12月26日のスマトラ地震で13日前と14日前に大きなじょう乱が出ていました。 そこで数多くの大地震との相関検証を実行しました。 1996年2月から2021年3月までのM8以上の大地震27個の前にAEじょう乱が出ていたか否かを調べました。
大地震発生の半月前までにAE指数の大じょう乱が起きた確率は77.8%であり、 1か月前までに大じょう乱が起きた確率は96.3%と高確率でした。 最長の大じょう乱発生は33日前でありました。大擾乱が起きてから約1か月待てば、大地震を見逃すことはないと予測できそうです。 ただしAEのじょう乱だけでは、日本を含む世界の「どこか」で大地震が起きるとしか言えません。
でもAEのじょう乱が現れたら約1か月以内に「どこかで」大地震が起きると予測できます。 「30年間に70%の確率で首都直下地震が起きる」という日本政府の予知より、はるかに防災の備えの心構えになります。
ところでこの6週間(42日間)は震度4の地震が3回あっただけで、震度3以下の地震しか起きておらず静穏状態です。 静穏状態が続いた後で大きな地震が突発するので要注意です。AEのじょう乱は7月19日に出て以来静穏です。

第6報:惑星直列・接近が起きたら地震が起きる

配信:2022.08.17

第3報で新月と地震発生との間に特殊な関係があることを述べました。 新月は太陽と地球の間の軌道の中に月が割り込んだ形になります。 太陽の黒点から核融合で放射される爆風(太陽風)は月があるため、渦巻き状になって地球に吹き付け、 地球を大きく揺さぶり、地震を誘発しやすくします。
同じように太陽と地球の間に太陽に近い側に周回している水星や金星が割り込んでくる時があります。 これを惑星直列と言います。水星は地球の公転速度の2.4倍と早いですので、1~2か月に1回程度惑星直列を起こします。
惑星の天体位置関係が特殊なものに、地球から見て2個以上の惑星が互いに接近して見えるときがあります。 惑星接近と呼ばれています。天文観測愛好家が天体望遠鏡で写真を撮影したりします。 惑星直列と惑星接近は天体計算のサイトで簡単に前もって調べることができます。
不思議なことに惑星直列および惑星接近が起きる前後に大きな地震が起きやすいことが分かってきました。 惑星直列は太陽風が地球にじょう乱をもたらすことで地震を誘発すると説明できますが、惑星接近がなぜ地震と関係があるかは、 私にとってはミステリーの領域です。理屈は説明できないけれど地震発生と関係していると言う事実は否定できないです。
私は惑星直列および惑星接近と過去の地震発生との相関検証を行いました。 占星術家になった気分でしたね。結果は驚くものでした。
日本で起きた死者100名以上の地震20個を選び、地震発生に一番近い日に惑星直列および惑星接近が起きた日を確かめました。 結果は驚くもので、惑星直列が起きた日から5日以内に地震が起きた確率は75.0%、10日以内に地震が起きた確率か90.0%でした。 惑星接近の方は、5日以内が55.0%、10日以内が75.0%でした。1か月以内にすると100%でした。
惑星直列は理屈が説明できますが、惑星接近は私には理屈が立たないので、世界の大地震35個に対して、 惑星接近との相関検証をしてみました。5日以内が54.2%、10日以内が82.9%、1か月以内が100%でした。 理屈は立たなくても事実は一つの前兆として認めない訳に行かないです。
わが国の大きな地震の例として、2011年3月11日の東日本大震災(M9.0、震度7)の場合、 5日後の3月16日に火星と木星が接近していました。 事前に惑星直列・接近の日を調べることができますのでこの特殊な天体運動が起きる日を調べて、 前後1か月は世界の「どこか」で大地震が起きると警戒した方が良さそうです。

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