村井俊治の部屋

「村井俊治の部屋」音で地震を予測する

執筆:村井俊治、JESEA取締役会長、東京大学名誉教授

※本稿は「MEGA地震予測」のコラムにて配信中の「村井俊治の部屋~どこかで大地震が起きる前兆とは?」をブログ用に再編したものです。

第9報:音で地震を予測する

配信:2022.09.07

人間の耳は20Hz以上の周波数の音波を聞くことができます。 象の耳は15Hz以上、鳩の耳は5HZ以上の音を聞くことができ、人間より低周波の音を聞くことができます。 人間の耳に聞こえない非可聴音をインフラサウンドと言います。 インフラサウンドを検知する装置をインフラサウンドセンサーと言います。 2004年12月に起きたスマトラ地震で津波がタイにも押し寄せた時に、海岸近くにいた象が、山の方に一斉に逃げたと言われています。 遠くの津波の音を聞いていたのでしょうね。
地震が起きる前に極めて低周波のインフラサウンドが地中および地表に伝搬することが知られています。 この技術は軍事技術にもなっていて、北朝鮮などが地下で核爆発の実験を行った時に、 インフラサウンドの伝搬を検知していると言われています。
中国の北京工業大学の地震研究所がインフラサウンドで地震予測をしていて、 1995年の阪神淡路大震災を事前に検知していたとの情報が得られたので、約8年前に北京工業大学に行き、 情報交換をしただけでなく、中国製のインフラサウンドセンサーの購入を要求しました。 私の研究室の元留学生を介して交渉してもらい、無事購入できました。 中国製のセンサーほどの低周波数のセンサーは日本では開発されておらず、軍事大国の中国では開発済みなのでした。 音波を使って地震予測をするのに軍事技術を使うなどは驚きでしたね。
1台のセンサーでは「どこで」は特定できませんが、3台のセンサーを使えば大体の場所を特定できます。 残念ながら価格の点からも手続きの点からも1台のセンサーしか購入できませんでした。 JESEAの会社内に設置して毎日観察を続けています。「どこか」で地震が起きる予測に役立っています。
大体ですがインフラサウンドに異常が現れたら約2週間以内に大きな地震が起きることが分かってきました。 最近中国から、少し高い周波数のセンサーを購入して観察を始めました。 今までのセンサーより近距離で起きる地震を検知することが期待されます。 まだ試験期間中ですので近い将来有用性が分かるでしょう。
前に述べた北京工業大学の地震研究所では面白い実験をしていました。 セキセイインコの羽にセンサーを取り付け、羽ばたきの回数を計測していました。 おそらく地震の前に起きる異常な前兆をセキセイインコが感じ取って羽ばたきを多数回するのでしょう。 担当の先生によれば、結構的中するのだそうです。

第10報:JESEAで地震予測に取り組むスタッフの紹介

配信:2022.09.14

5日後に83歳の誕生日を迎えます。私の第2の人生でやりがいのある大きな目標になった地震予測を始めるきっかけとその後、 9年前にJESEAの会社を立ち上げ、現在までにピンポイント予測を開発するまでになりましたが、 多大な貢献をしてくれたスタッフを紹介します。
私を含めて全員地震学を専門にした者はいません。理科系4人と文科系4人です。社長のK氏は映画の製作に携わっていました。 常務のT氏は元電子関係の会社に勤めていました。 東日本大震災が終わった直後の2012年秋にK氏とT氏に偶然の機会で会って、 GPSで地震予測ができるという私の話を聞いて、2013年1月17日にJESEAの会社を設立しました。 有料会員が集まらず、私と社長は無給、常務は月給10万円のみで1年過ごしました。
偶然のことからフジテレビのMr.サンデーに私が出演して、当時騒がれていた南海地方の地震がいつ起きるかを、 3月9日放映の時に3月中に起きるでしょうと、言ったところ3月15日に伊予灘地震が起きて、会員が急増して倒産を逃れました。
常勤社員のS君は、元ネット配信関係の仕事をしていましたが、JESEAのネット配信を担当するだけでなく、 GPSデータの異常変動の解析を担当してくれています。 C君は、広報・広告担当だけでなく、AIを応用した危険度ランキングを算出してくれています。 非常勤のM氏は社長の映画関係を手伝っていた方で地震予測は全くの素人ですが、 今は地磁気やオーロラの異常を毎日監視して異常があれば報告してくれています。 同じく非常勤のO君は学生時代から知っていた男で、土木関係の会社に勤めていました。 定年になってから奥さんに四六時中家にいては困ると言われている、無給でいいからJESEAの仕事を手伝いたいと言ってきました。 気温が地震の前に異常な変動をすることを丁寧に監視してくれています。 このコーナーで気温の異常変動と地震発生の相関検証を紹介したいと思います。 最近来日したグオさんは特集で紹介したので省略します。
会社のスタッフではないですが、元小学校の校長をしていたN先生が、地震予測に大変興味を持ち、 無給でいいから地震予測の研究を手伝わせて欲しいといって来ました。 無給の代わりに私が様々な地震予測に関する知識を伝授するということで、研究パートナーになってもらいました。 とても優秀な方で真剣に研究のアシストをしてくれ、「村井俊治の部屋」で紹介した検証研究の大半を手伝ってくれました。 皆に感謝です。

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