2021年4月、トカラ列島近海で250回以上の地震が発生している。
いわゆる「群発地震」の一種と考えられる今回の地震だが、
実は現在トカラ列島以外でも地震活動が活発にみられ、
日本の各地で群発地震が発生している。
今回は2021年1月1日~2021年4月21日までに発生した「群発地震」の中でも
特に回数の多いものを紹介する。
トカラ列島群発地震は250回以上発生
2021年1月1日~4月21日までに、トカラ列島近海では267回もの地震が発生している。
このうち4月に発生したものは264回だが、4月10日には106回の地震が発生した。
4月に発生した地震の回数が非常に多く、中には震度4を超える地震もあったために
現在、トカラ列島近海の群発地震は全国的に注目を集めている。
◆トカラ列島近海を震源とする地震の発生日と回数(2021年4月)
上記の通り、特に地震が多く発生していたのが4月10日~4月12日であり、
この3日間だけで230回も地震が起きていることがわかる。
4月9日 | 2回 |
---|---|
4月10日 | 106回 |
4月11日 | 89回 |
4月12日 | 35回 |
4月13日 | 7回 |
4月14日 | 6回 |
4月15日 | 3回 |
4月16日 | 2回 |
4月18日 | 5回 |
4月19日 | 1回 |
4月20日 | 2回 |
4月21日 | 6回 |
4月13日以降は地震の回数が格段に減っている。
一見すると地震活動が落ち着いているかのように見えるが、
4月21日は6回地震が発生しており、
4月24日にも1回(最大震度2、M3.3)地震が発生していることには留意しておきたい。
また、今回の群発地震では震度4の地震が6回発生している。
これら6回の地震については下記の表にまとめたが、
マグニチュードは3.9~5.3であり、飛びぬけて大きな地震というわけではない。
しかし震源が14km~20kmとやや浅い場所であるため、
鹿児島県十島村をはじめとした地域で、やや大きな揺れが観測されている。
◆トカラ列島近海を震源とする震度4以上の地震(2021年4月)
発生日 | 発生時刻 | 深さ | マグニチュード | 最大震度 |
4月10日 | 16:36:23 | 21 km | 5.1 | 4 |
4月10日 | 07:07:30 | 22 km | 5.3 | 4 |
4月11日 | 21:00:23 | 18 km | 3.9 | 4 |
4月11日 | 05:40:37 | 20 km | 4.6 | 4 |
4月12日 | 23:01:48 | 14 km | 5.3 | 4 |
4月21日 | 07:45:24 | 16 km | 4.1 | 4 |
4月25日未明、鹿児島県鹿児島市桜島で爆発的な噴火が発生したが、
今回の群発地震はその桜島をはじめとする火山活動が影響した可能性も考えられる。
桜島の噴火以降、トカラ列島近海で地震は発生していない。
しかし、「群発地震は終息した」と安易に考えずに、
今後大きな地震が発生する可能性も考慮に入れて警戒を続けることが肝要だ。
長野県(北陸地方)でも群発地震が発生
現在、群発地震の発生地域としてはトカラ列島近海が注目を集めているが、
実は2021年に入ってから長野県の各地で地震が頻発している。
2021年1月~4月の地震発生回数は38回と、トカラ列島近海よりは少ない。
しかし、4月に発生した地震は21回と格段に増加しているほか、
トカラ列島近海を震源とする地震よりも、震源が浅い地震が多く発生している。
4月21日に発生した地震(深さ165kmで発生)を除けば、
38回の地震のうち36回は「地表から10km以内」で発生している。
地表から近い場所を震源とする地震は、
地震そのものの規模(マグニチュード)が小さくても
震度(実際に揺れる度合い)が大きくなるため、注意が必要である。
長野県では現在も1日に1~2回の頻度で地震が発生しているが、
もし今後、同じように地表近くを震源として、規模の大きな地震が発生すれば
大きな被害につながる危険性がある。
震度が小さいからと油断せず、
地表近くで何度も地震が発生していることに留意して、
警戒を緩めないようにしたい。
和歌山県北部の群発地震と震度5の地震
和歌山県では2021年3月15日に最大震度5弱の地震が発生した。
実はその地震の発生前、同じ和歌山県内で36回もの地震が発生している。
つまり2月に群発地震が活発に見られた後、
約2週間静穏な日が続き、突然震度5の地震が発生したのだ。
地震回数の推移を詳しく見ていくと、
2021年1月に5回、2月に31回の地震が発生し、
2月26日に和歌山県北部を震源とした地震(最大震度1、M2.0)が発生した後には
群発地震が収まり、静穏な日が続いたかのように思えた。
しかし、翌3月15日に突然、
和歌山県北部を震源とする最大震度5弱の地震が発生したのである。
群発地震は、多くの地震が発生している間だけではなく、
多くの地震が発生したあと静穏な日が続いてから、
より大きな地震が発生する事例もあるということだ。
和歌山県だけではなく、他の地域で発生している群発地震についても
一見落ち着いたかに見えたその後、
より大きな地震が発生する可能性があるため、警戒が必要である。
各地で発生する群発地震に要注意
上記でまとめた以外にも、
伊豆大島近海では4月21日から4月25日にかけて
10回以上の地震が発生している。
4月21日には最大震度3の地震が発生しているため、
こちらの地域も今後の動きを注視するべきだ。
このように、トカラ列島近海を震源とする地震だけではなく、
2021年以降全国で発生している他の群発地震についても、
今後大きな地震につながる可能性があると考えられる。
特に、和歌山県北部で発生した地震のように、
群発地震の回数が少なくなった後に大きな地震が発生することもある。
震度が小さいからと安易に考えず、
大きな地震が発生する可能性を常に頭に入れておくことで、
地震被害の備えを強めてもらいたい。