【論文公開02】自社地震予測基準点に見る異常変動 〜4つの地震で見られた「地震の前兆」とは?〜

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2019.12.26

はじめに

国土地理院は現在電子基準点データについてはホームページ上において2週間遅れで最終解(F3データ)および2日遅れで速報解(R3データ)の日データを公開している。(株)地震科学探査機構は2013年1月に設立して以来国土地理院の公開データを利用して地震予測ビジネスに取り組んできた。このことは大変ありがたいのであるが、1日平均データであること、および最短2日遅れであることが地震予測の時間精度を向上させる上で制約になっている。そのため自社地震予測基準点と呼ぶGNSS固定局を2015年4月に神奈川県小田原市に独自に設置し、地震予測の精度向上に役立つか否かを試験的に研究してきた。この1年間に本基準点が震度2以上の地震が数回起きているので、地震の前に前兆と思われる異常変動を調べてみたのでその成果を報告したい。

自社地震予測基準点の設置

神奈川県小田原市の民間企業の敷地を借用して、上空視界が開け、地盤が堅固である場所に2015年4月にGNSS固定局を設置した(図1参照)。2周波のリアルタイムキネマチック方式でGPSとGLONASSを最短1秒間間隔で受信し、その場で座標計算を実施し、通信機能を利用してリアルタイムでクラウドに送信し、登録されたパソコン上で瞬時にデータおよびグラフが閲覧できる。なおこの受信機は指向性を上下方向および水平方向に選択でき電波障害の影響を受けないメリットを有する。現在XYZの三次元座標のほかに楕円体高(H)の4つの数値をグラフ閲覧できる。
最短1秒間隔(1日のみ)、1,2,3,4,6,12,24時間平均化データ(7,14,21,31日)のデータおよびグラフをEXCEL上で閲覧できる。

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図1:小田原市に設置された自社地震予測基準点

自社地震予測基準点が揺れた地震と前兆

2015年4月から現在まで約1年が経過するが、小田原市が震度2以上の揺れを示した地震のうち下記の4つを取り上げる。

  • 2015.5.13:宮城県沖地震、M6.8、震度5強、震源の深さ=50km、小田原市:震度2
  • 2015.5.25:埼玉県北部地震、M5.5、震度5弱 震源の深さ=60km、小田原市:震度3
  • 2015.5.30:小笠原諸島西方沖地震、M8.5、震度5強、震源の深さ=682km、小田原市:震度4
  • 2015.9.12:東京湾地震 M5.2、震度5弱、震源の深さ=60km、小田原市:震度3

上に示した4つの地震のすべてに事前に異常変動が見られ、地震の前兆と解釈できる(図2、3、4、5参照)。

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図2:宮城県沖地震 3時間前に前兆あり
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図3:埼玉県北部地震 6日前に前兆あり
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図4:小笠原諸島西方沖地震 2日前に前兆あり
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図5:東京湾地震 2日前に前兆あり。地震後異常変位あり

考察

上に示した4つの地震の例では最短で3時間前、最長で6日前に前兆と思われる異常変動が見られた。図2と図5は1時間平均、図③と図4は3時間平均のグラフである。小田原市に設置された自社地震予測基準点に一番近い国土地理院の電子基準点は「二宮」である。二宮の電子基準点データ(日データ)をチェックすると、いずれの地震の前には同様の異常変動は見られなかった。すなわち日平均値のデータには図2から図5に示したような感度の良い異常変動は平均化データの中で埋没していると考えられる。興味のある事象は、前兆が見られるのに対し、地震時は異常変位していないことである。地震後に異常変位を常に示すわけでなく、今回の例では宮城県沖地震および東京湾地震の時のみ地震後に異常変位が見られた。

自社地震予測基準点の優位性

下記の優位性があると考えられる。

  • リアルタイム性
  • 高感度性
  • 予測時間の精度向上
  • 利便性
  • 計画・設計の柔軟性
  • 地震予測監視体制の一元化

おわりに

自社地震予測基準点は1基約500万円かかるが、幸いにスポンサーが支援してくれたおかげで試験的な検証研究ができた。現在他にもスポンサーが現れ、複数点に自社地震予測基準点の設置計画が進められている。国土地理院の電子基準点を併用して地震予測の精度向上に努めたいと考える。

  • JESEA 取締役会長 東京大学名誉教授

    村井 俊治

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