地震は、地球を構成しているプレートが地下の深いところで互いに変動する過程で起きます。これを「地殻変動」といいます。つまり、地震が起きたときには、地殻も動いているのです。地震の震源は、浅い時で10~20km、深い時は100km以上にもなります。なお、震源が浅いほど、震度も大きくなり被害も大きくなる傾向にあります。
近年、地震が起こる前に、地殻に微小な変動が発生していることがわかってきました。さらに地殻は、上下左右、斜めに変動します。つまり3次元的に動くのですが、大地震ほど3次元的に動くこともわかってきました。
また、震源からはインフラサウンドや電磁波、放射性ガス、水蒸気、高熱などが発せられることもわかっています。
今まで地震現象を観測する方法として「地震計(地震の際の揺れを計測する機器)」が使われてきました。しかし地震計は、地震波の波動を観測するものであり、前兆現象の地殻の変動を捉えているわけではありません。
1993年以降、国土地理院は地殻変動を観測する目的で全国に約1300箇所の電子基準点(観測点)を設置。これにより、人工衛星から位置情報を取得し、地殻の変動を観測できるようになりました。なお、以前はアメリカのGPSデータのみを利用していましたが、現在はロシアのGLONASSおよび日本の準天頂衛星の3つの衛星測位を用いており、GNSS(global Navigation Satellite System/全球測位衛星システム)と呼ばれています。
これらの電子基準点では、地球の重心を原点とする「地球中心座標系」から緯度、経度、楕円体高(標高)を30秒間隔に観測しています。観測の精度は5mmオーダーと言われており、非常に正確なものです。
このデータを取得することで、「地殻変動」の状況を知り、地震の予測に活用することができるとJESEAは考えています。ただし電子基準点の座標データには、ときにノイズが含まれるケースもあります。
例えば、GNSSのデータは地上に設置されたアンテナで受信するため、大雨や大雪などの影響を受けることもあります。さらに地球は季節、時刻により温度なども異なりますから、季節や時間によっても誤差が生じることもあります。さらに季節によっても誤差が生じることもあります。他にも積雪、周囲樹木による電波障害などによって、地殻変動とは異なる変動または誤差が生じるケースもあります。
つまり、「電子基準点の座標の動き=地殻変動」とは言い切れないのです。ですが、電子基準点データを利用すれば、地殻の3次元的変動を常に連続的に観測可能です。また日本ほど、電子基準点を配置している国は他にはありませんから、その精度も非常に高いものとなります。
そのため「MEGA地震予測」では、ノイズを棄却したデータのみを使用し地震予測をすることで、精度向上に務めています。
JESEAでは、電子基準点のデータを使い、過去に起きたマグニチュード6以上の地震162個に対して、地震の前に何らかの「前兆現象(地震が起こる前の地殻の微小な変動)」が起きていないかを独自に調査しました。すると、すべての地震に前兆現象が見られたのです。
時期は地震発生の数日前から2ヶ月ほど前くらいの範囲。しかし震源が著しく深い場合(およそ50km以上)では、電子基準点の動きに前兆が現れないこともあることが最近ではわかってきました。またマグニチュードの値が大きくても、大きな被害が生じるとは限らないなど、地震予測に関してはまだまだ未知の部分も多く、“絶対”と言い切れるものは少ないのが実情です。それでも「大地震の前には、前兆現象が発生する傾向にある」と言えます。
この前兆現象をより正確に捉えるためには、電子基準点のどのデータを利用するかが重要になります。JESEAでは、様々な指標と地震発生の相関分析を試みた結果、「楕円体高の変動」が特に地震と関係することを突き止めました。
利用するデータは2種類。まず、1週間以内の変動において、楕円体高の最大値と最小値の差を検証。さらに「2年前と比較してどれだけ隆起したか、または沈降したか」を中長期的な視点で検証しています。そこに加えて、日本列島全体の歪みも考慮しています。
こうして細やかにデータを収集・検証することで、「MEGA地震予測」では地震の予測を行なっています。しかし、前兆現象が現れてから、正確に何日後に地震が起きるとはまだ予測できません。前兆現象が発生してから、数週間後のこともあれば、数ヶ月後の場合もあります。
現状はまだ、「100%の精度による地震予測」は確立できていません。それでも、地震や津波の被害から人々の命や財産を守りたいという思いから、JESEAは「MEGA地震予測」を通じて、多くの方に地震情報をお届けしています。
※なお「MEGA地震予測」は、震度5以上の地震の発生場所を予測します。つまりもっとも揺れるところを予測するものです。
JESEAは地殻変動以外の前兆をとらえる方法として特許を5件取得し、トータル約10種類の地震予測方法を使って高い精度の地震予測を実現することに成功致しました。私たちはそれを「ピンポイント予測」と名付け2021年7月より「MEGA地震予測」にて実用化しています。その的中率は70%以上を誇ります。
その約10種類の地震予測方法とは地殻の異常変動の解析、ダイナミックAI解析、ミニプレート解析、搬送波位相解析、気温計測値の解析、インフラサウンドの解析、太陽活動の異変解析、地震の前に現われる異常な衛星データの解析等です。
これらのメソッドを有機的に結合させ総合的に予測するのが「ピンポイント予測」です。