Opinion

東日本大震災の前兆とは? 予測はできる?

今回は、東日本大震災前に現れていた、いくつかの前兆現象について解説をします。東日本大震災の前には、日本列島の地面に大きな「水平方向の動き」と「沈み込み」が見られました。2つの前兆現象について、くわしく見ていきましょう。

日本の地面の動きを測る「電子基準点」

今回お話するふたつの前兆現象は、日本中に設置された「地面の動きを測定する機械」が受信したデータを解析し、日本列島の動きを細かく観察した結果とらえたものです。「地面の動きを測定する機械」のことを「電子基準点」と呼びます。これは国土交通省(国土地理院)によって全国に設置されています。日本全体に約1300点の電子基準点があり、地面の上下方向の動きや水平方向の動きを毎日測定しています。

このデータを解析することで、日本の地面がどの方向にどれくらい動いているのかを知ることができるのです。JESEAでは、大きな地震の前兆をとらえるため、電子基準点のデータから解析した「地殻変動データ」を日々観察しています。

いわば日本列島の「健康診断」をするように、いま、日本のどこにひずみが溜まっているかを「現在の地殻変動情報」から分析しているのです。

東日本大震災の3日前に地面が動いた!

 2011年の地殻変動データを用いて検証した結果、東日本大震災の直前には日本の地面が震源方向に向かって大きく動いていたことがわかりました。

この画像は2011年3月8日の「日本列島の動き」のうち、水平方向の動きを矢印で表現したものです。10日前と比較して、電子基準点の設置された地点の地面がどれほどの大きさでどの方向に動いたかを示しています。

この図を見ると、2011年3月8日には全国的に東方向の大きな変動があったことがわかります。日本の地面は日々刻々と様々な方向に動いていますので、水平変動の動きも毎日異なった大きさや方向のものが見られます。その中でも、特に震災前には「東日本大震災の震源の方向」への動きが見られました。これは前兆現象のひとつであると考えられます。

東日本大震災前に見られた「地面の沈み込み」

地面は水平方向だけではなく上下にも動いています。JESEAでは長年の解析結果から、特に「沈降」は大きな地震につながる可能性が高いと考えています。

東日本大震災の5か月前、地面が全国的に沈み込み始めました。図に示した通り、緑に近いほど地面が隆起し、青(紫)に近付くほど地面が沈降している(沈み込んでいる)ことを表しています。

これは震災1日前の地面の様子です。5か月前と比較すると、青っぽい場所が増えていることがわかります。地面が沈み込んでいるのです。東日本大震災の発生前は、震源付近だけではなく全国の広い場所で地面が沈み込んでいたことがわかっています。

このように、東日本大震災の前には、日本の地面に「震源方向への水平方向の動き」と「沈み込み」という前兆現象が起きていました。

大きな地震の前には前兆現象があるとされていますが、地震によって前兆現象の種類や現れる期間には様々な違いがあります。その前兆現象はどのように見つけられるのでしょうか。

日本列島の健康診断、つまり地殻変動の解析はその基本であり中長期的に地面の動きを知ることが地震予測の第一歩となります。

そして、JESEAの地震予測方法は、およそ10種類あり、地殻変動解析のほか、インフラサウンド、電磁波、衛星画像、地磁気などの観測データを総合的に解析し地震予測を行っています。

JESEAでは、東日本大震災の他にも、様々な地震を解析しています。防災対策を見直すためにも、この機会にぜひご覧ください。

JESEA公式ホームページ「地震の前兆を捉える」

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