防災対策の失敗例
今回は、実際に被災した方の経験談等をもとに「防災対策で失敗したこと」「やっておけばよかった」と感じた人の多い事例をご紹介します。大きな地震や災害が発生したときに少しでも被害を軽減するために、普段から「地震・災害が起きたときの行動」を前もって決めておくことが大切です。
防災グッズが足りない/使えない
特に食料や水、衛生品などの消耗品は「足りなかった」という失敗が多く見られました。賞味期限の管理も忘れがちになってしまうため、ローリングストック法(過去のブログ記事で解説)を採用するなど「普段の生活から災害時に備えておく」という心構えが重要になります。
農林水産省が公開している「緊急時に備えた家庭用食料品備蓄ガイド」によると、最低でも3日分・可能であれば1週間分程度の食料品の備蓄を推奨しています。食料品は食べ慣れていて長期保存できるものを常に買い置きしておけば、緊急時にも安心です。
また、防災グッズのトラブルには以下のようなものがあります。
- 懐中電灯等の乾電池が切れていた
- 普段使わないタイプの電池(単一・単二)が必要だった
- 久しぶりに電源を入れようとしたらうまく動作しなかった
- 防災グッズの使い方を忘れていた or 知らなかった
これらのトラブルは「非常用のものだから」と普段は防災グッズに触らずにいるために起きることが多いです。そのため、まずは普段から使う道具を「被災時でも使用できる」ものにするのがおすすめです。
たとえば、普段スマートフォンの充電に使用しているモバイルバッテリーを大容量のものにする、スマートフォン以外の電子機器も充電できるタイプに買い替えるなど、普段使っているものを「被災時でも使えるか?」という観点で見直し、改善することでいざというときに備えることができます。
防災グッズのトラブルを回避するための対策をまとめました。
- 防災グッズは使い慣れたもの or 直感的に使えるものを用意する
- 防災グッズは必ず一度使ってみる(動作確認する)
- 電池や燃料(カセットコンロのガス等)は多めに用意しておく
- 手回し式や太陽電池式のバッテリーを備えておく
特にお子様のいるご家庭では、一度ご家族揃って防災グッズの使い方を確認してみることをおすすめします。
防災グッズの保管場所や重量に問題がある
防災グッズや食料を入れた「非常用持ち出し袋」も、保管場所を誤ってしまうといざという時に持ち出せなくなる場合があります。
おすすめの保管場所は玄関です。「押し入れ」や「クローゼット」に保管していると、被災時の状況によっては持ち出せなくなる場合があるからです。被災時には、倒れた家具で足の踏み場がなくなる・扉が開かなくなることがあります。家の中であっても何かを持ち出すことや、運ぶことが難しくなる可能性があるのです。
「非常用持ち出し袋」は、家の中がどんな状況であっても持ち運べるように、玄関付近や出入口付近のすぐに取り出せる場所に設置しておくことをおすすめします。
また「非常用持ち出し袋をいざ背負ったら重すぎて運べなかった」という実体験もあります。人が背負って歩ける荷物の量には個人差もありますが、一般的に男性15kg 女性10kg とされています。「運ぶ人の体重の8分の1」とする場合もあります。
たとえば体重が約40kgの人であれば、「体重の8分の1」とすれば約5kgとなります。普段の運動量や筋肉量によっても運べる重さには違いがありますので、目安の重さを参考にしつつ持ち出し袋の重さを調節し、一度は背負って歩いてみることが大切です。
被災時は倒れた家具やガレキなどで足元が悪くなりますので、平常時に背負ったときに「重い」と感じるようなら荷物の量を減らすか軽量化することを検討してみてください。より軽く、かさばらない材質の防災グッズに買い替える等の対策も有効です。
やっておけばよかったこと
実際に被災した方が「やっておけばよかった」と感じたことは主に以下の3つです。
- 家族や友人の連絡先をメモしておく
- 避難先、集合場所を決めておく
- 避難経路を決めておく
特に連絡先を控えておくことは重要です。普段スマートフォンや携帯電話を使っている場合は、非常用持ち出し袋の中や普段持ち歩いているものの中に、緊急連絡先を記載したものを入れておくことをおすすめします。
また、仮に互いに連絡が取り合えない状況でも「被災時はここに集まる」と前もって決めておけばスムーズに合流することができます。実際に災害が発生する前に「第一避難先は自宅、第二避難先は○○小学校」と決めておくようにしましょう。
避難経路を決めたり確認しておくことも重要です。地震や災害が発生した場合、緊急車両の通行を優先するため、主要な道路が通行止めになる場合があります。各自治体で「緊急時に通行ができなくなる」道路の情報が公開されていますので、ぜひ一度お住いの地域の道路情報を確認してみてください。
参考:「大震災発生時の交通規制(警視庁)」※警視庁のHPに移動します
「日頃から浸水・地震の影響を見ておく」こともおすすめです。特に大雨の降った時に冠水しやすい道や、地震の揺れを大きく感じる場所、ブロック塀が多い場所など、普段から注意して周囲の状況を確認しておくと被災時や避難時に役立つことがあります。非常連絡用のテレホンボックスの位置などもあわせて確認し、覚えておくのも大切です。
このように、普段から「被災時の行動をシミュレートしておく」ことが一番の防災対策になります。防災グッズを揃えるだけではなく、「地震・災害が起きたらこうしよう」をあらかじめ決めておき、緊急時にはそれに従って行動するだけ、という状態にしておくともしものときも安心して行動することができます。