今回は「必ず来る」と言われている「南海トラフ地震」について、そもそも南海トラフとは何か、想定されている被害はどんなものかについて解説をします。
南海トラフ地震とは
「南海トラフ」に沿ったプレート境界で発生する地震を「南海トラフ地震」と呼びます。気象庁が定義している「南海トラフ」の場所は下記の通りです。
出典:気象庁
関東地方の一部、東海地方や四国地方、九州までを含む広い地域です。そもそも「トラフ」とは「海底にある長いくぼみで、海溝よりは浅い地形」のことを指します。つまり「南海トラフ」はフィリピン海プレート(海側のプレート)とユーラシアプレート(陸側のプレート)の接する区域の海底にできた溝状の地形のことです。
南海トラフ地震が「必ず来る」と言われている理由
南海トラフ地震は、過去に大きな規模の地震が南海トラフ沿いで繰り返し発生していることから、「これから先、将来も必ず来る」と予想されています。過去に南海トラフ沿いで起きたとされている地震には以下のようなものがあります。
- 684年 白鳳(天武)地震
- 887年 仁和地震
- 1096年 永長東海地震
- 1099年 康和南海地震
- 1361年 正平(康安)東海地震
- 1361年 正平(康安)南海地震
- 1498年 明応地震
- 1605年 慶長地震
- 1707年 宝永地震
- 1854年 安政東海地震
- 1854年 安政南海地震
- 1944年 昭和東南海地震
- 1946年 昭和南海地震
上記のように、南海トラフ地震がおおむね100~150年間隔で発生していること、前回発生した昭和東南海地震・昭和南海地震から70年以上が経過していることから、気象庁は次に発生する「南海トラフ地震」の被害想定や、それに基づいた防災計画を考案しています。
南海トラフ地震で予想される被害
出典:気象庁
政府機関である「中央防災会議」では、「科学的に想定される最大クラスの南海トラフ地震」が発生した際の被害想定を実施しています。想定されている地震は「南海トラフ巨大地震」と呼ばれており、地震が発生した際に想定される震源域は上記の通りです。
緑で塗られた領域と、赤線で囲われた領域が「南海トラフ巨大地震」の想定震源域とされています。これを見ると、関東地方の茨城県・千葉県の沿岸から、九州南部まで幅広い地域が揺れることが想定されています。
ただし「南海トラフ」には非常に広い地域が含まれ、実際に震源となる場所も様々なケースが考えられます。この被害想定もあくまで「ひとつの仮定」であるため、実際に南海トラフ地震が発生した際の被害とは異なることも考えられます。
それでは、南海トラフ地震に備えるためにはどうしたらいいのでしょうか。
南海トラフ地震に備えるために
まずは住んでいる地域で大きな地震に見舞われても生活することができるだけの備えをすることが重要です。避難経路の確認も事前に行う必要があります。避難に必要なものを用意する際の考え方や、避難経路の確認方法は過去にご紹介しておりますので、ぜひ参考にしてください。
また、大きな地震の前には異常な地殻変動が発生することがわかっています。JESEAでは日本列島の地殻変動を解析し、地震予測に活用しています。地震への備えを万全にしたうえで、異常な地殻変動に注意することが、いつか来る南海トラフ地震に備えるために重要なことといえます。