Opinion

関東大震災はいつ起きた? 被害の理由や震源はどこ?

今回は、2023年に発生から100年を迎える「関東大震災」について
過去いつ起きたのか、
また「日本史上最悪の震災」と呼ばれる被害についてまとめました。

関東大震災は1923年9月1日に発生

関東大震災はいまからちょうど100年前の1923年9月1日に発生した
「大正関東地震」によって生じた一連の災害のことを指します。

地震と震災の違い
「震災」は、「地震によって引き起こされた災害」のこと。
「関東大震災」は「大正関東地震」が引き起こした災害です。
「東日本大震災」の場合、
原因となった地震は「東北地方太平洋沖地震」となります。

JESEAでは、上記の「地震」と「震災」の違いを踏まえて
情報を発信していますが、
「わかりやすさ」や「伝わりやすさ」を重視し、
ブログ等で公開する文章においては
一般に広く使われている「○○震災」という表記を選択しています。

関東大震災で発生した「大正関東地震」の規模はマグニチュード7.9でした。
東日本大震災で発生した「東北地方太平洋沖地震」の規模は
マグニチュード9.0なので、
規模だけを見れば東日本大震災よりも大きくない地震ということになります。

日本史上最悪の災害・関東大震災の被害とその理由

東日本大震災よりも大きくはない規模の地震ながら、
関東大震災の死者・行方不明者は約10万5千人でした。

これは日本の歴史上、自然災害において最大級の犠牲者数です。
関東大震災は、犠牲者の多さから「日本史上最悪の災害」と呼ばれることもあります。

関東大震災は、東日本大震災よりも規模が大きくないにも関わらず
なぜ東日本大震災の5倍にもおよぶ犠牲者を出してしまったのでしょうか。

実は関東大震災で犠牲になった人の9割は火災による「焼死」で命を落としており、
揺れそのものより、地震のあと東京府内の住宅密集地帯で発生した「火災」が
何よりも大きな被害を出したことがわかっています。

当時の日本は大正時代で、燃えやすい木造建築の家が多かったこと、
そして下町を中心に住宅が密集していたことも、火災被害が拡大した原因のひとつでした。

地震発生の時刻がちょうど昼時で、火を使っている家庭が多かったことから
揺れで倒壊した家に次々と火が付き、延焼していったと考えられています。

また、関東大震災では「火災旋風」という現象が起きたことも知られています。
火災旋風とは、火災のときに発生する竜巻状の渦のことです。
発生する原因や仕組み、構造については現在も研究が進められています。

関東大震災の時には、
この「火災旋風」が東京で約110個、横浜で30個発生したとの報告があります。

実は1923年9月1日、関東では台風の影響で南寄りの風が強く吹いていました。
しかし台風が進むにつれ、風向きは南から西、北と変化していきます。
地震により倒壊した家屋から出火し、いたるところで火の手があがるなか
強い風が方向を変えて吹き続けていたことで、
延焼が拡大し被害が増えたと考えられています。

台風の影響は地滑りにもつながっています。

関東大震災の前日には、台風の影響によりかなりの降雨があったことがわかっています。
降雨の影響で、特に関東南部の山地・丘陵地において
地滑りや土石流が発生しました。

また震源が海域だったため、関東大震災では津波の被害も発生しています。
特に三浦半島から伊豆半島東岸では大きな被害が出ています。
津波の高さは静岡県の熱海で12メートル房総半島の相浜で9.3メートルでした。
(内閣府,災害教訓の継承に関する専門調査会報告書 平成18年7月1923 関東大震災より)

当時、交通・通信機関が被害を受けたことで
人々が正しい情報を得られず、デマやガセ等の誤情報によるパニックも起こりました。

このように、災害は、地震・火災・水害が同時に発生することもあります。
正しい情報が得られないことによる被害や
ライフラインの寸断による影響を最小限に抑えるためにも事前の対策が必要です。

災害への備えを検討する際には、
地震の「揺れ」から身を守ることだけではなく、
揺れから生じる火災や地滑り・土砂災害のほか、
二次災害への対策や準備も、忘れずに行うようにしましょう。

関東大震災の震源はどこ? 実は東京ではない!

関東大震災の震源は、
相模湾北部、相模湾中央部、山梨県河口湖付近、神奈川県西部など諸説あります。
誤解されていますが、「東京」が震源の地震ではありません。

また「首都圏の地震といえば関東大震災」と
思っている方も多いかもしれません。

しかし実際には、関東圏で発生した大きな地震はいくつかあり
「30年以内に70%の確率で起こる」とされている
首都直下地震の発生時期を推定する根拠のひとつともなっています。

過去に首都圏で発生した大きな地震
1703年 元禄関東地震(M8.2
1782年 天明小田原地震(M7.0)
1853年 嘉衛小田原地震(M6.7)
1855年 安政江戸地震(M6.9)
1894年 明治東京地震(M7.0 )
1894年 東京地震(M6.7 )
1894年 茨城県南部地震(M7.2)
1921年 茨城県南部地震(M7.0)
1922年 浦賀水道付近地震(M6.8)
1923年 大正関東地震(M7.9)※関東大震災

上記のなかで特に規模(マグニチュード)の大きな地震は下記です。

  • 1703年 元禄関東地震(M8.2)
  • 1923年 大正関東地震(M7.9)※関東大震災

マグニチュード8クラスの地震は、元禄地震と関東大震災の2つで間隔が220年ですが、
その間に8件のマグニチュード7クラスの地震が起きています。

関東大地震は、なにも「めったに起きない、珍しい災害」ではないのです。
発生から100年が経った今こそ、関東大震災の被害を教訓に
災害への備えを見直してみることをおすすめします。

上記の「過去の地震」が首都直下地震の発生時期を推定する根拠となった理由については
次回の記事「関東大震災の予測・予想や被害想定をわかりやすく解説!」にて
紹介する予定です。

 

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