Opinion

地震からの避難 高齢者がいる避難所での備え

JESEA Blogではこれから先、
いつ起こってもおかしくはないといわれる大地震に対し
今から備えるために、避難や防災に役立つ知識をご紹介しています。

今回は、大きな地震が発生した際に
高齢者のいる家庭や
子どものいる家庭が避難所で過ごす際の
避難の方法、注意点を説明します。

高齢者のいる家庭 災害関連死を防ぐ

地震などの災害時、高齢者と避難する際に
注意しなければならないのは、災害関連死のリスクです。

災害関連死とは、災害による直接の被害(揺れ・火災など)ではなく
その後の避難生活で命を落としてしまうことを指します。

東日本大震災や熊本地震でも多く発生し、
特に熊本地震においては、地震による死者数50人に対し
災害関連死が218人と、直接の被害を上回る数値でした。

災害関連死は主に高齢者に起こりやすく
東日本大震災後1年間で確認された
災害関連死の約9割が70歳以上、
熊本地震では約8割が70歳以上の高齢者でした。

今回は、想定されている問題と
それに対する対処法を紹介します。

〇食事についての問題
・避難所で支給される食事が食べづらい・食べ慣れない
・糖尿病や高血圧など、持病に合わせた食事の用意が難しい
・災害によるストレスや不安で食欲が低下し、栄養状態が悪化

〇対策
備蓄する食料品に、高齢者が好きな味付けのもの、
食べやすいものを用意しましょう。
咀嚼に苦労してしまう乾パンよりも羊羹やアンパンを用意する、
おかゆを用意し無理なく水分も摂取できるようにする、
水分摂取の際に利用するとろみ剤を用意するなども有効です。

また、持病に合わせた食事を用意しておくことも重要です。
避難所で支給される食品は、高カロリーであったり塩分が多いものも含まれます。
糖尿病や高血圧など、食事において制限がある方は
糖分をおさえたもの、低塩分の食品を用意しておくことで
体への負担を最小限におさえることができます。

持病が悪化する心配がなければ、
栄養価の高い食品を積極的にとるようにしましょう。
非常用の羊羹など甘いもののほか、
複数の味わい、食感のものをそろえることで
食欲の減退をおさえることを意識してみましょう。

〇トイレについての問題
・仮設トイレなどをうまく使えず転倒してしまう
・ポータブルトイレが低くうまく使用できない

〇対策
避難所に設置される仮設トイレについて、可能であれば、
使用前に一度、高齢者と共に使用方法を確認できると安心です。

過去の災害時には、ドアの開閉方法や
鍵の閉め方がわからずに転倒してしまう事故が発生しています。

もし自宅で避難する場合であっても、
水洗トイレが使用できないケースを想定し、
介護用ポータブルトイレの用意ができると安心です。

ポータブルトイレの高さがあまりにも低いと
用を足した後の立ち上がりが困難になり
転倒につながることがあるため、
災害前に、適切な高さに設定するほか
高齢者と共に使用方法を確認しておきましょう。

高齢者のいる家庭 避難所での注意点

高齢者のいる家庭が避難所に向かう際、
注意しておくとよい点を紹介します。

〇避難所には早めに移動
災害時、自宅での避難生活が困難であったり
火災・津波・建物の倒壊の危険がある場合は
避難所に移動します。

その際、高齢者のいる家庭は特に早めの移動を心掛けましょう。
災害時の移動では車の使用が制限されるため、
高齢者は車いすや徒歩で移動することになります。

どうしても移動に時間がかかってしまうため、
災害前に「こうした被害が起きたら避難所に移動する」という
「移動や避難の目安」を決めておき、災害が起きた際に
スムーズに避難できるようにしましょう。

また、基本的に避難所で過ごすスペースは
先着順で割り当てられるケースが多くなっています。
もたれかかって休める壁際や、
コンセントの近く、トイレの近くがよい、といった希望がある場合
早めに避難所へ到着できるよう移動する必要があります。

〇食料の備蓄をしておく
先述した通り、避難所での支援物資だけを頼りにしていると
体質に合った食事を摂ることは難しくなります。
普段から、体質に合った食事や、咀嚼・嚥下しやすい食品を
災害用に備蓄しておくことをおすすめします。

食欲の低下や偏った食生活で栄養不足になりやすい避難生活を
安全に過ごすために、「おかゆや汁物など水分の含まれた食品」や
「野菜ジュース」「乳酸菌飲料」「食物繊維入りの飲料」などを
確保しておくと、より安心できます。

〇毛布類、クッション、衣類なども持ち出せるように
避難所で配布される毛布類は、
枚数が十分に配られるとは限らないこと、
また材質が肌に合わないなどで実際には使用しづらいケースも
過去の避難所で発生しています。

避難所生活では、特に「座りっぱなし」といった体勢が続くことで
身体に負担がかかりやすくなります。
普段から使い慣れた毛布類や、クッション類も持ち出せるとよいでしょう。

また、衣類(特に下着類)は災害時特に入手が難しくなります。
洗濯できる機会も限られているので、
避難所生活が始まってからでも、衣類や下着類は持ち出せるよう、
普段からまとまった場所に用意しておくことをおすすめします。

今回は、高齢者のいる家庭で避難所生活を送る際
注意が必要な点について説明しました。

次回も災害や避難について、役立つ情報をお届けしていきます。

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