今回は、前回の記事に引き続き、JESEAスタッフが実際に家族で行った避難訓練の経験を通して、避難生活に必要なものや、選び方の基準についての一例を紹介します。
「避難経路や避難場所の確認」「緊急時の連絡手段」は以前の内容でご紹介しましたので、今回は「ないと生きていけないもの」を準備するにあたり大切なことをまとめました。
「ライフライン」の確保について考える
防災時に重要とされる「ライフライン」の確保とは、「これがないと生きていけないもの」を確保するということです。ライフラインの確保、と聞いて漠然と非常用食料や飲料水を用意するのではなく、実際に水道が使えない・電気が通っていない状況で「自分」や「家族」が生きていくために必要なものを吟味することをおすすめします。
- 照明(両手が使えるためヘッドライトが望ましい)
- 飲料水(調理用・水分補給用)
- 生活用水(手を洗う・皿を洗うにも必要)
- 非常用トイレ
- 寝る場所の確保
「自分」や「家族」の必要なものを考えることが重要なのは、飲料水や照明などの基本的なものを除き、本当に生活に必要なものは各家庭で異なってくるためです。小さなお子様がいるご家庭ではオムツや離乳食が必要な場合もあります。主に携帯端末から情報を得るのなら大容量のモバイルバッテリーが必要かもしれません。寒さに弱い方がいるご家庭なら、防寒具を多めに用意する必要があるでしょう。
実際に水道や電気が使えない場合に何が必要になるのか、ぜひご自分や家庭の状況に当てはめて考え、防災のための備えに取り組んでみてください。
「できれば欲しいもの」を考える
「できれば欲しいもの」とは、なくても生存に支障はないけれど、いつかは必要になるものを意味します。たとえば「洗濯」は、非常時であれば一週間程度は我慢できるかもしれません。しかし、衛生上の問題もあり「風呂」や「歯磨き」はあまり長い間しないわけにもいきません。
防災のための備え、と聞くとつい「生活必需品」や「食料・水」にばかり意識が向いてしまいがちですが、地震などの災害から普通の生活に戻れるまでは何日かかるか予測できないものです。そのため、「水道が復旧していない状態で歯磨き・お風呂はどうするか」について前もって考えておく必要があります。
たとえば、洗濯については「●日間着たものを袋にまとめておく」等ルールを定めるだけでも緊急時の心構えとしては有効です。お風呂や歯磨きについては、粉末タイプのシャンプーを使う、ウェットティッシュで身体を拭く、マウスウォッシュで代用するなど、各家庭の状況にあわせて導入しやすい方法を検討することをおすすめします。
大切なのは「前もって決めておくこと」
最も大切なことは、自分ひとりでも、ご家族で住んでいる場合でも、「災害発生前にどうするか決めておく、考えを共有しておく」ことです。実際に災害が発生すると、次々と目の前のことに対処する必要が出てきます。そんな緊急時に「あれどうしよう?」「これがない!」と想定外のことばかり発生すると、冷静に対処することが難しくなってしまいます。
防災グッズを準備するときにも、「被災時に必要なものをすべて用意する」ことは困難です。だからこそ、せめて「いま家には何があって、何がない」かを把握し、事前に予測できる部分だけでも「どうするかを決めておく」ことで、災害時の状況に対応しやすくなります。
事前に決めておきたいこと一覧
今回は「避難訓練やってみた」編のまとめとして、災害発生前に家族で決めておきたいことの一覧を作成しました。あくまでも一例として、防災の備えの一助となればと思います。
- 自宅から一番近い避難場所、避難所の場所
- 自宅から出る方法(マンション・アパートの場合はどうするか?)
- 避難場所、避難所への行き方(ルート)
- 避難方法はどうするか?(徒歩・自転車・車)
- 家族が離れ離れの場合、集合方法はどうするか?
- 家族、職場への連絡や安否確認方法は?
- 災害時に通れる道や道路はどこか? 危険な道はどれか?
- 食料と水は充分な量あるか?
- トイレはどうするか?
- 照明、生活用水、ガス(卓上コンロ等)はあるか?
- 燃料やバッテリーは充分にあるか? 補充できるか?
- 自宅から避難する場合、どこで眠るか?(車・避難所)
- 自宅から避難する場合、持ち出すものは何にするか?
- 「できれば欲しいもの(無くてもしばらくは我慢)」はどれか?
みなさんもぜひ一度、地震などの災害時、自宅や職場で必要となるものを今一度整理し、防災対策に取り組んでみてください。