Opinion

地震への備え 低体温症を防ぐ衣服

JESEA Blogではこれから先、
いつ起こってもおかしくはないといわれる大地震に対し
今から備えるために、避難や防災に役立つ知識をご紹介しています。

今回は、地震に備えて衣服を用意する際に
意識しておきたい「低体温症」について、
被害を防ぐための準備のコツを説明していきます。

低体温症を防ぐ

災害時に備える衣服について、
重要な要素が「低体温症を防ぐための備え」ができているかどうかです。

主に「濡れることを防ぐ」または「濡れた衣服を着続ける状況を避ける」ことが重要で、
災害時には雨具を用意するほか、
雨や増水した河川等の影響で濡れてしまった服を着替えるために、
防災用の衣服を備える必要があります。

災害時、特に気温の低い季節は、
濡れた衣服を着続けることによって体温が奪われ、
場合によっては低体温症になることがあります。

低体温症は体の深部体温が35℃以下の状態を指し、
身体が生産する熱と、身体から逃げていく熱のバランスが取れず
身体から多くの熱が失われた結果、身体全体の体温が低くなってしまいます。

症状が進むと心臓や肺の機能が低下し、
脈拍や呼吸が減少することで死に至ることもあります。
また、判断力や免疫力も低下するため
災害関連死のリスクも高まることがあります。

特に冬の避難生活や寒さの厳しい地域では注意が必要で、
東日本大震災でも、低体温症の症状が出ていた方が多く見られました。

津波被害の場合、被災時や避難時に濡れてしまうことがあるほか、
津波の被害がなくとも、ライフラインの寸断により十分な暖房設備がない中で
避難生活を余儀なくされ、厳しい寒さに晒されることがあります。

そのため、まずは「濡れない」ように雨具などをそろえること、
「濡れた場合に着替えられる」ように着替えを用意するほか、
季節に合わせた備えが出来ているかも確認するとよいでしょう。

特に冬の避難に関しては低体温症を防ぐものを、
夏には熱中症対策を考えたものを備えるようにしましょう。

低体温症の症状

深部体温が35℃以下で低体温症となりますが、
深部体温は内臓等の温度となるため、
一般的な体温計では測ることが出来ません。

そのため、避難所などでは、
「歯がカチカチ鳴っている」「震えている」「呼びかけに応じない」
といった症状が出ている場合は、医療関係者に相談するようにしましょう。

低体温症では脳の機能が下がるため、
呼びかけに応じない・反応が鈍いことがあります。
また高齢者などは暑さや寒さを感じにくいため、
自覚症状がないまま症状が進行している場合もあります。

冬の避難所生活では、特に高齢者の低体温症に注意し
こまめに様子を確認するほか、
ご自身でも低体温症を防ぐ用意をしておくと安心です。

低体温症を防ぐには

低体温症を防ぐには以下の3つのポイントがあります。

①加温・保湿
②濡れない(濡れたら着替える)
③食べること

最も重要なのが①加温で、冷えた身体を効率的に温めるためには
「胸」を温めるとよいと言われています。
胸を温めることで、温まった血液が全身に広がるため
深部体温をあげやすくなります。

一方で「手足」を温めることは避けます。
手足で冷えた血液が心臓に戻ることで身体の中心体温が急速に低下し、
「復温ショック」と呼ばれる症状を引き起こすことがあるためです。

温める時に便利なものとして「湯たんぽ」や「カイロ」があり、
避難用に備えておくと重宝します。
低温やけどを防ぐため、湯たんぽはかならず
ケースやカバーを併用するようにします。

②濡れない(濡れたら着替える)
衣服が濡れている場合は、乾いた衣服に着替えることが最優先です。
そのため災害用に備える衣服は決して濡れないよう、
密閉できるポリ袋やビニール袋に入れるようにしましょう。

毛布や防寒着で保温するほか、
毛布がない場合は新聞紙、段ボール、寝袋など
あらゆるもので寒さを遮断するようにします。

また、被災時や避難時に「濡れない」ように
雨具(レインウェア)を用意することも重要です。

特に登山用の高性能なレインウェアなど、
持ち運ぶときにかさばらず、防水性が高いものや
蒸れにくいものを備えられればより安心できます。

雨の中でがれきの撤去をしなければならない場合や
遠い避難所に移動しなければならない時にも動きやすいよう
上下セパレートタイプのものがおすすめです。

災害時だけではなく普段の生活でも便利に使えるものを選び、
普段から着用することで、避難する時にも持ち出しやすくなります。

③食べること
温かい湯に砂糖を溶かしたものや、スープ、
味噌汁など暖かくて食べやすい飲食物で体温を上げるようにします。
しるこやチョコレートなど、甘いものがおすすめです。

身体を温める時の飲食物としては、
アルコール、コーヒー、お茶などは利尿作用があるため
脱水症状を引き起こす可能性があります。
大量に飲むことは避けましょう。

上記を参考に、特に冬や寒い地域の避難生活に備え
低体温症を防ぐ準備を整えてみてください。
今回は低体温症を防ぐ備えについて説明しました。
次回も災害時に役立つ情報をお届けしていきます。

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