Opinion

地震や災害 避難所での避難生活 運営や利用方法は?

JESEA Blogではこれから先、
いつ起こってもおかしくはないといわれる大地震に対し
今から備えるために、避難や防災に役立つ知識をご紹介しています。

今回は、前回に引き続き
地震や災害に遭ったときの避難先である
「避難所」について、実際に利用する際に注意することや
定められた運用方法、起こりやすい問題などについて説明していきます。

避難所の生活期間 過去の事例

まず、避難所とは何かを説明します。
ご存知の方もいらっしゃるかと思いますが、
避難所は「被災時に自宅を失った」または「自宅に戻れない」人が
一時的に共同生活を送る場所とされています。
また、在宅で避難を続ける人に対しての支援を行う拠点ともなります。

この「一時的」は被害の状況によって変動しますが、
内閣府がまとめた過去の災害時の事例では、
避難所生活を送った被災者の数は下記の通りとなっています。

・阪神・淡路大震災:約 31 万人
・東日本大震災:岩手・宮城・福島の3県で約 41 万人
※全国合計では約 47 万人

避難所の閉鎖までにかかった期間は、
阪神・淡路大震災で 6 カ月
東日本大震災では、岩手県で 7 カ月、宮城県で 9 カ月。
原発事故で福島県双葉町の住民が避難した避難所の閉鎖は 2 年 9 カ月後でした。

つまり地震によって自宅が被害を受けた場合、
避難所での生活が6か月以上続くことも十分に考えられます。

防災対策を行う際には、
自宅が無事だった場合、在宅避難を行うための備えと
自宅からも避難をする場合(避難所で生活する場合)の準備
どちらも整えておくことで、いざという時に安心して行動することができます。

避難所の運営は避難者が中心

では、避難所での生活は実際のところ
どのようなものなのでしょうか。

こちらに関しては、国の定めた「避難所運営ガイドライン」をもとに
各自治体が設定した、自治体ごとの「避難所運営ガイドライン」が設定されています。
お住いの地域の「避難所運営ガイドライン」を
一度は確認してみることをおすすめします。

まず、避難所となる施設の開錠や開設は、
担当の市職員や、避難所となっている
学校施設の職員等が担当することが多いです。

しかしその後、避難所の運営は「避難者が主体」となって
行うことが望ましいとされています。

実際には、避難所運営ガイドラインを参考にしながら
町会・自治会などで結成した自主防災組織や
避難所運営協議会が運営していくことになります。

避難所運営協議会は、
避難所が開設すると組織され
原則として、行政担当者、施設管理者、
避難者の代表等で構成されることが多いです。
原則として「避難者を含めた全員」で運営していくものとされています。

「避難所に行く」ことは、
「避難所を利用する人間として運営にも携わる」ことでもあります。
市職員や避難所の運営管理者自身が被災し、
避難所に来ることができない・または遅れるケースも
過去の災害時には発生しています。

また過去の災害時、市職員が避難所のルールを細かく定めた避難所では
市職員と住民の間でのトラブルが多かった一方で
避難者が自主的に運営協議会を作り、ルールを定めて運用した避難所では
トラブルが少なく円滑な運用が行われていたことがわかっています。

避難所を利用する際には
避難する、という目的だけではなく
避難生活を送る、という観点で
避難所運営に積極的に協力することが必要になります。

③避難所での作業
それでは実際に避難所の運営とは
どのようなことを行い、発生する作業にはどんなものがあるのでしょうか。

各自治体の「避難所運営ガイドライン」を確認すると、
避難所開設から避難所閉鎖までのフローや
実際の行動チェックリスト等が詳細に記載されていることが多いので
ぜひ一度お住いの地域の「避難所運営ガイドライン」を確認することをおすすめします。

一例として、都内の某市における「避難所運営ガイドライン」によると
・避難者に怪我人がいないか確認する
・避難所内の生活スペースの振り分け、トイレの設置、案内板の設置
・避難者名簿の配布、提出、受付の設置
・自治体の災害対策本部への報告 2~3時間おき
など、様々な作業が発生することがわかります。

特に重要なのが「避難者名簿」の管理や自治体の災害対策本部への報告です。
特に支援物資の分配や配給において
各避難所に何人の被災者がいて、支援物資をどのくらい届ければいいのか
災害対策本部が把握するためには、こうした管理・報告体制が不可欠です。

また、自宅避難を行っている避難者についても
避難所で支援物資の供給を受け付けるには、別途名簿を作って管理し報告するなど
ケースに応じた細かい対応が必要になります。

こうした業務以外にも、支援物資を避難所まで運んだり
分配する際には人手が必要ですし、
避難所生活で体調を崩した人がいた場合のケアをどうするか検討する
避難者同士でトラブルが起こらないよう、ごみ出しのルールを整備する等
過去の事例から、避難所が開設された際に
対応すべきことはたくさん発生すると予想されています。

「避難所」について、「避難者も主体となって運営する」という意識があれば
実際に利用する際に心構えができると思います。
ぜひ一度、避難所を利用・運営に携わるつもりで
お住いの地域の「避難所運営ガイドライン」を確認してみてください。

そのうえで、備蓄や非常持ち出し袋の準備を進めることで
防災への意識が高まり、災害に適切に備えることができると考えます。

次回も引き続き、災害からの避難について
説明していく予定です。

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