今年は関東大震災の発生から100年を迎える節目の年です。
これから先、いつ起こってもおかしくはないといわれる大地震に対し
今から備えるために、今回は震災の体験談をまじえて、
災害直後の避難行動について説明します。
災害直後の避難 非常用袋の持ち出し
今回は2016年4月に発生した熊本地震(最大震度7)の
体験談をご紹介します。
熊本地震は「前震」として 4 月 14 日午後 9 時 26 分に
最大震度7の地震が発生し、その後も複数日にわたって
本震・余震ともに大きな揺れが発生した地震です。
この「前震」が発生したのは、前述した通り日没後であったために
揺れと同時に停電が発生した地域も多くありました。
その場合、防災意識が高く枕元に懐中電灯や
非常持ち出し袋を設置している家であっても
激しい揺れで吹き飛んでしまい、所在が分からなくなることが多かったといいます。
特に、揺れと同時に停電が発生した場合、
時刻が日没後であれば手探りでの行動を余儀なくされます。
非常持ち出し袋や懐中電灯など
避難に必要な物資は
大きな揺れで所在が分からなくならないよう
玄関先にまとめておく、転倒防止対策をした収納箇所に保存するなど
激しい揺れが発生した状態でも手の届くような状態に
しておくことが望ましいとされています。
また、災害で火災や津波が発生している場合は
とにかく危険な場所から一刻も早く逃げることが重要です。
地震などで建物の損傷が激しいときも
倒壊して逃げられなくなるケースがあるため
非常持ち出し袋を手探りで探すよりも
避難を優先しなければならないことがあります。
特に災害直後は、「命を守るために最善の行動を選択する」ことを
内閣府も推奨しています。
地震や津波を体験した人の話では
「命があれば後でどうにでもなるからまず逃げてほしい」
「家にあるものが心配で、危険地域に取りに戻ることは危険」
という警句が繰り返し登場します。
災害直後はまず命を守るための行動を選択してください。
家具の転倒対策 なぜ必要?
熊本地震の体験談のなかで
より深刻な問題とされているのが、家具の転倒です。
転倒防止対策をしていない家具が家の中に多いと
家じゅうで背の高い家具が転倒し、
避難の際に出入り口をふさいだり
大きなけがの原因にもなります。
熊本地震のように大きな揺れが複数発生するような場合は
一度倒れた家具を元に戻しても
余震でもう一度倒れ、在宅での避難が困難になるケースもありました。
大きな家具の転倒は、中に入ったものが破損し怪我の原因になるほか
災害直後の避難行動や、地震が落ち着いたあと、長い避難生活の中でも
特に大きな影響を及ぼすことがわかっています。
大きな地震を経験した人は
多くが「転倒防止対策をしていればよかった」
と体験談のなかで語っています。
地震など大きな災害が来た際に
避難口を確保し、怪我を防止するためにも
家具には転倒防止対策にくわえ
食器棚などには「飛び出し防止」の対策を施すことをおすすめします。
何度も大きな揺れが襲う地震災害では、
家具が転倒しなかったとしても
収納されていたものが飛び出して散乱し
怪我の原因になったり、避難生活の障害となることがわかっています。
災害前にできること 避難口の確保
同じく災害前にできることとして、
職場や自宅で被災した際に「どこに」「どうやって逃げるか」を
検討しておくことがあげられます。
たとえば自宅がマンションの5階だった場合
階段でどこまで下りられるか?
階段が使用不可能だった場合、どうやって逃げるか?
職場が高層ビルの中にあった場合、
エレベーターが使用不可の状況でどのように避難するか?
災害時には停電が発生し、
建物の損壊などで普段とはまったく異なったルートで
移動することも考えられます。
まずは自宅で被災した場合、
ドア・窓・その他出入口はどこにあるのか
そこをふさぐようなものがないか
倒れてきた家具で出入り口がふさがれないかを
確認し、もしふさがれてしまう原因があるなら
各家庭にあった手段で対策を施すことをおすすめします。
今回は、熊本地震の体験談もまじえて
家具転倒防止の必要性や、避難時の行動について説明しました。
次回も災害時の避難について具体的な事例をまじえ
説明していく予定です。