Opinion

地震で津波発生 避難場所の選び方・河川津波の危険

今年は関東大震災の発生から100年を迎える節目の年です。
これから先、いつ起こってもおかしくはないといわれる大地震に対し
今から備えるために、前回に続き津波について説明します。

前回は津波の体験談や、
注意すべき「遡上高」について紹介しました。
今回は実際に津波から避難する際に
選ぶべき場所や、具体的な避難先について紹介します。

揺れが小さくても、海の近くからはすぐ避難

海の近くで地震の揺れを感じた場合は、
たとえ揺れが小さいものであっても
すぐさま高台などの安全な場所に避難するようにしてください。

体感した揺れが小さくても、
地震の規模(マグニチュード)が大きければ
津波が発生する可能性があります。

またこのブログでも繰り返しお伝えしているように、
津波は速度が速く、肉眼で確認してからの避難では
逃げ遅れてしまう危険があります。

小さな揺れでも避難しなければならないのは
1896年明治三陸地震での被害が大きかったためです。

この地震では
震度3程度の揺れでも大きな津波が発生しました。
多くの人が、小さな揺れだからとその場にとどまった結果
地震の約30分後に巨大な津波が陸地に押し寄せ、
約2万人以上という犠牲者が出ました。
この被害は日本でも最大級の津波被害として記録されています。

内閣府の広報誌『ぼうさい』にまとめられた情報によれば
三陸津波誌では
明治三陸地震での津波被害について
次のように記載されていたといいます。

「午後七時頃地震があった。強くはなかったが震動時間が長かった。
十数分過ぎてからまた微震があって、それが数回続いた。
海岸では潮の引くべき時間でもないのに引き潮があった。
それからまた潮がさし、しばらくたって8時20分頃海の方から
轟然と大砲のような響きが聞こえた。

しかし、人々は軍艦の演習くらいに思い、気に留める者もいなかった。
まもなく、すごい音響とともに黒山のような波が耳をつんざくばかりに怒号し、
一瞬の間に沿岸一帯あらゆる全てのものを流しさってしまった」。

この過去の地震から、地震の揺れが小さくても
津波の危険がある場所からは一刻も早く避難すべきであること、
また、特に「揺れの長い」地震には注意が必要であることがわかります。

避難場所の表示方法

海や海の近くには
避難誘導表示板等を事前に確認し
津波が起きた場合どこに逃げるかを
あらかじめ把握しておくことをおすすめします。

深緑色の看板で
「津波避難場所」
「津波避難ビル」
と記載のあるものが、津波から避難する際に
利用が推奨されている場所です。

津波の危険がある場所には
「津波注意」の表示や表示板が設置されているため
海の近くにいる際には必ず確認するようにしましょう。

津波の危険がある場合、
津波避難場所に指定された高台や
津波避難ビルを目指してすぐに避難し、
津波警報が解除されるまでは安全な場所から動かないようにしましょう。

津波は長時間にわたり何度も繰り返し押し寄せ、
第一波よりも次の波が高い場合もあります。

「高台に避難していたら波が引いたから」
という理由で、すぐに自宅の様子を見に行ったり
海岸付近にものをとりにいったり、
海の様子を見に行くことは危険です。

警報が解除されるまでは安全な場所にとどまり、
状況に応じて、より高い(安全な)場所に
避難することも検討しましょう。

河川津波 津波が起きたら川にも注意

また、地震が起きた際には
海に流れ込んでいる川からも離れる必要があります。
津波は川をさかのぼり、内陸に被害をもたらす危険があるからです。

東日本大震災(東北地方太平洋沖地震)では、
津波が北上川をさかのぼり、
海から49km離れた内陸まで到達した記録が残っています。

津波は岩手県境付近までさかのぼったとされ、
津波が遡上した結果、川の堤防が決壊し周囲に被害をもたらしました。

川から150mほどの距離にある
バスの営業所にも、川を遡上した津波が到達し
営業所に停車していたバスが3台流される被害が発生しました。

川を遡上したからといって
津波のエネルギーが弱いわけではなく、
場合によっては川の堤防を破壊し、
バス3台を流してしまうほどの力があることがわかります。

河川津波に詳しい
東北大学(水工学)の田中仁総長特命教授によると
川には津波のエネルギーを弱める障害物が少ないために
速度を落とさずに遠くまで津波が到達するのだと言います。

海岸から直接津波に襲われる地域でなくとも、
大きな津波が発生した場合は内陸の川に被害がおよぶため
津波警報が出た際に、川の近くにいたり
川の近くに住んでいる場合は避難を検討しましょう。

気仙沼市本吉町の津谷地区も、
東日本大震災の際には河川津波で大きな被害が発生しました。
海からの津波は到達しなかったものの、
川を遡上し、あふれた波が高さ3mに達した記録があります。

海岸から離れたから大丈夫、と安心するのではなく
大きな津波が発生した場合は
川から離れることも検討に入れて避難をするようにしましょう。

今回は、津波の避難場所や
河川津波の危険について説明をしました。
次回も引き続き、震災からの避難について説明する予定です。

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