今年は関東大震災の発生から100年を迎える節目の年です。
これから先、いつ起こってもおかしくはないといわれる大地震に対し
今から備えるために、前回に続いて「避難生活」をとりあげます。
特に忘れがちなものや
見落としがちなグッズについて説明します。
まずは「自宅で避難する」前提で備蓄の見直しを
備蓄を考える際の指標として、
細かい物品のチェックに入る前に
「大前提として、この備蓄で最低3日生活できるか」
という視点で、準備した備蓄品を再確認しましょう。
これから用意するという方は、
可能であれば7日間
生活できる備蓄を用意することをおすすめします。
特に首都圏で大地震が起きた場合、
支援物資が届くまで時間がかかるケースも考え
7日間分の備えがあると安心です。
「地震発生後は避難所に行けばいい」
という考えの方も多くいらっしゃるかと思います。
しかし内閣府の想定によると、
首都圏で大地震が起きた際には
特に都心部で「避難所が不足する可能性」が懸念されています。
そのため災害時には、
可能な限り自宅で避難生活を送ることが推奨されています。
また、地震などの災害でライフラインや流通が滞るために
災害発生直後は
食料や水の入手も難しくなります。
「いま備えている物資だけで、
3日~7日生活する」
そういった意識で備蓄を見直すと
「そういえばあれも足りない」「これはもう少し欲しい」など
ご自身の生活に最も必要なものが見えてきやすいです。
たとえば、
トイレットペーパーやウェットティッシュ
頭痛薬や抗アレルギー剤などの常備薬は
災害時、不足したからと言って手に入れることは難しくなります。
小さなお子さんのいるご家庭では
オムツや粉ミルク、
高齢者のいるご家庭でも
衛生用品や介護用品など
普段から多めにストックしておくことで
災害時の備えになります。
災害時に「なくて困った」もの
上記、また過去の大地震の体験談などをもとに
災害時に「なくて困った」ものや
「準備を忘れていた」という声が多かったものをまとめました。
・現金
・身分証
・常備薬やお薬手帳
・ネックライト、ヘッドライトなどの照明を複数個
・防災グッズに使用されている電池類
(単一、単二、ボタン電池)
・トイレットペーパー
・水がなくても使えるシャンプーなどの衛生品
・使い捨ての食器類(紙皿など)
・ウォーターバッグ(水を保管する容器や袋)
・使用済携帯トイレを保管する密閉容器や防臭袋
・雨具(携帯できるもの)
・筆記用具
・モバイルバッテリー等、電源になるもの
まず、災害時には「電気・水道・ガス」などの
ライフラインが寸断され、しばらく使用できなくなります。
特に忘れがちなのが「現金」で、
普段カード決済などを利用している場合は注意が必要です。
電気が止まることで、クレジットカード決済などが
利用できなくなる場合が多いためです。
非常用の備蓄には、袋に入れた現金などを用意しておきましょう。
災害時の公的手続き等に利用する場合があるため
身分証や保険証も、コピーしたものだけでもよいので
避難用の備蓄や持ち出し袋に入れておくと
いざという時に安心です。
常備薬やお薬手帳も、
普段通院していたり服薬する方は必ず用意しましょう。
災害時に体調を崩した場合、
適切な治療を受けることが難しくなってしまいます。
災害時に備えるものは
「両手が使える」アイテムをそろえると安心です。
たとえば照明について「懐中電灯をひとつだけ」用意する、
という状態では災害時に苦労することがあります。
過去の地震経験談などから、
災害時、電気の普及していない家で
暗い中作業したり、移動する際に
必ず手で保持しなければならない懐中電灯は不便です。
夜に明かりを消して「着替え」や
「トイレへの移動」「食事」などを行ってみる
または行う場合を想定してみるとよくわかります。
また家族で生活している場合、照明がひとつしかないと
離れて行動する際や、トイレに行く際に不便であることが
体験談などでもよく語られています。
照明は複数、特に両手が使えるものを用意しましょう。
最後に、特に忘れがちなのが
災害用ラジオなど、防災グッズに使われている電池です。
電池を入れたまま長年使わずにいると
いざ使用するときにうまく動かないケースもあるので、
年に一度、うまく動くか点検しましょう。
点検時に、使用されている電池を確認し
同型の電池を多めに備蓄しておくことも重要です。
防災グッズが使えるか点検
先ほども触れましたが、
防災グッズが適切に動くかどうかは
1年に一度確認・点検することをおすすめします。
また電池を使わない防災グッズであっても、
災害時に「一度も使ったことがない」状態では
使用イメージがわかず苦労することもあります。
自宅に用意する防災グッズは、
食品や携帯トイレも含め、一年に一度は使用する機会をもちましょう。
賞味期限の点検や、買い足しを行うタイミングで
少し使用してみる・食べてみることをおすすめします。
使ってみることで
「思ったよりもゴミが出るな」
「トイレは使った後、しばらく捨てられない。
においを漏らさず保管する場所も必要」など、
気付くことが多いです。
実際に使用し、生活の中に落とし込むことで
必要なもの、足りないものや、備蓄の偏りに気付くこともできます。
関東大震災から100年の節目であるいま、
ご自宅の備蓄を再度見直してみてはいかがでしょうか。
来週は、首都圏で大地震が起きた際の
津波からの避難について
説明する予定です。