Opinion

首都直下地震の防災対策 車で被災 避難はどうする?

今年は関東大震災の発生から100年を迎える節目の年です。
これから先、いつ起こってもおかしくはないといわれる大地震に対し
今から備えるために、
前回に引き続き「避難」の際に注意すべきポイントについて説明します。

今回は車や電車で被災した場合、
避難に必要な手順をご紹介します。

地震発生時に車を運転していた場合の停車手順

大きな地震が発生した際に車に乗っていた場合、
どのように避難すべきでしょうか。

前提として、車の運転中の場合
小さな地震であれば、揺れを感じるケースは少ないと言われています。
タイヤやサスペンションの仕組みにより、ある程度の揺れは吸収されるからです。

運転者が揺れを感じるほど大きな地震が発生すると
車体が揺れ、同時にハンドルをとられるような動きが生じることがあります。

目安としては、おおむね震度4程度で揺れに気付き
震度5強になると運転が困難になると言われています。
過去の事例では、震度5強の揺れで
「横風を受けたような」揺れを感じた事例があります。

大きな地震が発生した場合の対処方法については
国家公安委員会が作成した
『交通の方法に関する教則』の「第3節 災害などのとき」にまとめられています。
上記では、大地震が発生した際に下記の措置をとることが推奨されています。

  • 急ハンドル、急ブレーキを避け、安全な方法で道路左側に停車
  • カーラジオ等により地震情報、交通情報を取得し周囲の状況に応じて行動する

大きな揺れを感じると、焦って急ブレーキを踏んだり
急ハンドルを切ってしまうケースがありますが、これは大変危険です。
まずはハンドルの動きをおさえ、減速する際もハザードランプを点灯させる等で
周囲に状況を知らせつつ、状況に合わせて安全な行動を選ぶことが大切です。

停車時は、可能な限り、
交差点付近やトンネルの出入り口、
急斜面の途中など危険な場所は避けましょう。
橋の上・交差点の中・トンネルの内部で揺れを感じた場合は
安全に注意しつつ通過してから停車するとよいでしょう。

特に注意が必要な「トンネル」「高速道路」を
走行中の避難方法は下記のとおりです。

 

トンネルの場合

ゆっくりと速度を落とす。
出口が近ければそのままトンネルから出る。
出口が遠い場合は「非常口」が見えるまでゆっくり走行を続け、
車を左側に寄せて停車し「非常口」から脱出する。

大きな地震の場合、トンネルは崩落や火災の危険があるため
焦らず確実に脱出することを意識して行動しましょう。

高速道路の場合

急停止はせず、ハザードランプを点灯させながら徐々に減速する。
左側に寄せて停車する。
大きな地震が発生し、「計測震度4.5以上(震度5弱に相当)」となった場合
高速道路は通行止めとなり、道路の点検が実施されます。
その際には現場の避難指示に従いましょう。

身の危険を感じた、倒壊の危険がある、火災が発生した等の
緊急の場合は、「非常口・階段」や「出入り口」から徒歩で避難しましょう。

一般道・トンネル・高速道路など様々な場所で
状況に合わせて安全な行動を選ばなければならないのは、
周囲の運転者が全員揺れに気付くわけではないこと、
また被災時の動揺や焦りから事故が起きやすくなるためです。

自分が揺れに気付いて停車を試みたとしても、
周囲の車は揺れに気付かず、通常通り走行しようとすることも考えられます。

また、車の運転者よりも、
歩行者や自転車のほうが揺れに気が付きやすく、
急に立ち止まったり減速するケースもあります。

停車を試みる際は、車だけでなく
歩行者や自転車の動きも含めた周囲の状況に注意が必要です。

運転中に地震が発生した場合の避難方法

運転中に地震が発生し、車を置いて避難する場合は
どのような行動をとればよいのでしょうか。

国家公安委員会が作成した『交通の方法に関する教則』によると
車を置いて避難するときは、
できるだけ道路外の場所に移動しておくことが推奨されています。

他にも、緊急車両が通行する際に車を移動することがあるため、
下記の措置も推奨されています。

  • やむを得ず道路上に置いて避難するときは、道路の左側に寄せて駐車
  • エンジンを止め、エンジンキーは付けたままとするか運転席などの車内の分かりやすい場所に置いておく
  • 窓を閉め、ドアはロックしない
  • 駐車するときは、避難する人の通行や災害応急対策の実施の妨げとなるような場所には駐車しない

上記の対応をとるため、
車から離れる際には貴重品・車検証は忘れず持ち出すようにし、
安全のためサイドブレーキをかけたまま避難しましょう。

さらに内閣府が公表している『避難に関する国の指導等』によると
地震・津波発生時の避難は「原則徒歩」となり
車に乗ったまま避難することは推奨されていません。

『交通の方法に関する教則』においても
津波から避難するためやむを得ない場合を除き、避難のために車を使用しないこと、
と定義されています。

被災時、交通が混乱した状況で多くの人が車での避難を試みた場合、
緊急車両の通行が妨げられたり
焦りから発生した事故により二次災害が発生する危険もあります。

また停電が発生した場合は信号機なども機能を停止するため
自動車での移動はより危険になります。

津波が迫っていて危険である場合や
高齢者・子供と避難する時など、やむを得ない場合を除き
徒歩で避難することを原則となっていることを
地震発生前から把握しておくことで、
いざ被災した際にも落ち着いて行動できる可能性が高くなります。

今回は、自動車を運転中に
大きな地震に巻き込まれた場合の対処方法・避難方法をご紹介しました。
次回も引き続き、災害時の避難方法についてご紹介いたします。

最新の地震予測を毎週お届けーMEGA地震予測―

※MEGA地震予測は共通のログインはできません。
(例:WEB版のログイン情報で、アプリ版を利用することはできません)
すべて個別入会となりますのでご注意ください。

※配信日はすべてのサービスで共通(毎週水曜日)です。