Opinion

首都直下地震の火災が起きたら 避難・消火の目安は?

今年は関東大震災の発生から100年を迎える節目の年です。
これから先、いつ起こってもおかしくはないといわれる大地震に対し
日頃から備えることが大切です。

特に、政府の地震調査委員会から出されている被害想定では
首都圏直下地震が起こった(都心南部直下地震)場合
最大の被害者が出る理由は「火災」だとされています。

今回はこの「火災被害」について、
被災した直後の対策や避難行動のほか
避難するかどうかの判断基準、初期消火の目安、
普段からできる対策について説明していきます。

首都直下地震の火災:被災した直後の行動

はじめに、災害が起こる前に「家で被災したら」「職場で被災したら」等
どこにいるときにはこうする、と具体的に想定し、必要なものを準備しておくことが大切です。

たとえば自宅で調理中に被災した場合。
まずは揺れで落ちてくるものから身を守ります。
揺れが収まり、身の安全を確保できたら、
家の中で火が出ている場所がないか確認します。

火が出ていた場合、初期消火で対応できるかどうかを判断する必要があります。
初期消火の限界にはいくつか基準がありますが、
「火が天井に届いたら初期消火の限界」と判断し避難することが推奨されています。
それ以上の消火活動を続けると、煙にまかれて逃げ遅れる可能性が高くなります。

実際に火を目にした場合、冷静に対処することが難しいことも考慮に入れれば
「自分の顔の高さ」程度まで火が上がってしまっていたら避難を考えたほうがよいでしょう。

初期消火を試みる際には、屋外への安全な避難経路を確保してから取り組んでください。

初期消火の方法には、いくつか手段がありますが
「水で濡らしたバスタオルを火元にかける」方法が手軽で安全ですが
初期消火は出火してから3分間が勝負と言われていることもあり
投げて使えるタイプの消火剤を常備しておくこともおすすめです。

消火するか避難するか、については判断を迷うことも多いと思われます。
しかし、まずは自分の生存を優先することが大切です。
まだ火が小さく「消せる」と確信が持てるのなら消火し
火が大きいことで迷いが生じるようなら避難を検討したほうがよい場合が多いです。

東京都の被害想定では、
地震による出火が約2,000件と想定されています。
実はこの2,000件のうち、800軒で初期消火が成功し、
1,200軒が火災に発展すると考えられています。
つまりこの1,200件の火災から延焼等が発生し、
最終的な焼失家屋数約41万棟へと発展していく計算です。

初期消火が成功すればするほど焼失数は減り、
何より自分の財産や家を守ることにもつながります。
まずは生存を第一に考え、次に家や財産を守ることも考えられるよう、
事前に初期消火の手順をよくシュミレーションしておくことをおすすめします。

首都直下地震の火災:避難の基準や目安

初期消火が間に合わなかったり、すでに近隣から火が出ている場合は
一刻も早く避難する必要があります。
ただし避難時には、可能な範囲でガスの元栓やメーターの元栓を閉め、
ブレーカーを落とすようにすると安全です。

ブレーカーを落とすのは「通電火災」を防ぐためです。
大地震で被害を受けた家屋では、停電したあと、
電気が復旧した瞬間に火事が起こることがあります。
この火災を「通電火災」といいます。

阪神淡路大震災では、生じた火災の半分が「通電火災」によるものだったとされており
家屋の焼失による被害を減らすためにも、
避難で家を離れる場合にはブレーカーを落とすことをおすすめします。

震災直後に、自宅で火災が起こらなかった場合でも
延焼に巻き込まれる可能性がある場合は避難所で過ごしたほうが良いとされています。

ただしこの判断も、実際に被災した場所や自宅のある地域によっても異なってきます。
木造家屋の多い地域にお住いの場合は、
延焼の可能性が非常に高いため自宅からの避難が推奨されます。

都心のマンションが集まる地域など、
鉄筋造の住宅が多い地域の場合は、木造家屋密集地域よりは火災のリスクが少ないため
避難するかどうかを状況に合わせて検討する必要があるでしょう。

どの場合でも、「自分だったら」「ここにいるときに地震が起きたら」と普段から考え
被災時の行動を具体的に決めておくと、スムーズに対処できます。

首都直下地震の火災:普段からできる対策

首都直下地震に備えるにあたっては、
火災や倒壊リスクの少ない場所で生活することが
有効な対策のひとつとなります。

「火災・倒壊」に強い場所や住宅かを判断する基準はいくつか存在しますが

・1981年6月1日以降に建てられた住宅か(新耐震基準で作られているか)
・木造家屋の密集地帯ではないか

特に上記2点はよく確認することをおすすめします。

もしご自身でお住いの場所で火災や倒壊が起こりやすい場合は、
引っ越しや建て替えも視野に入れて検討することで、
より地震被害を小さくすることができると考えます。

首都直下地震においては、特に火災被害について検討することが重要です。
この機会に、揺れによる被害だけではなく「火事が起きたらどうするか?」も
あわせて検討し、地震対策を行うことをおすすめします。

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