今回は「地震そのものの大きさ」を示す「マグニチュード」について解説します。以前、JESEA Blogでも「震度とマグニチュードの違い」について解説しました。そこで「どのくらい揺れたか(揺れの度合い)」を表す震度に対して、マグニチュードは「地震そのものの大きさ」を示していると説明しましたが、今回は特に「マグニチュード」について詳しく説明をしていきます。
マグニチュードとは何か
マグニチュードとは先述した通り「地震そのものの大きさ」のことです。「揺れの大きさ」である震度と混同しやすいのですが、ふたつには下記の通り明確な違いがあります。
このように、震度とマグニチュードの違いを「ライト」にたとえてみます。震度は「実際に見えるものの明るさ」であり、マグニチュードは「電池の数」です。マグニチュードが大きい方が大きな揺れが起こりやすいのですが、震源が深い(地表から遠い)場合には揺れが小さくなります。
また、震度は場所ごとに異なります。たとえば大きな地震が起きた時、震源近くでは震度5を記録したのに対し、震源から遠く離れた場所では震度が3であったり4であったりします。しかしマグニチュードはエネルギーの値ですから1つしかありません。
マグニチュードの大きさが1変わると?
マグニチュードは「地震そのものの大きさ」つまり「地震が持っているパワー、エネルギーの大きさ」とも言えます。マグニチュードの大きさが1変わると、とても大きな違いが生まれます。ある地震のマグニチュードが、別の地震よりも1大きかった場合、その地震は約32倍大きなエネルギーを持っていることになります。
具体的には、マグニチュード6の地震と比べて、マグニチュード7の地震は約32倍のエネルギーを持ち、マグニチュード8はマグニチュード6より約1,000倍も大きなエネルギーを持っています。
マグニチュードは地震のエネルギーを表すものであるため、大きくなればなるほど揺れも大きくなりやすいです。ただし、マグニチュードの大きい地震は発生頻度が低くなっています。下図は気象庁が記録した地震のうち、2018年以降に発生したマグニチュード5以上の地震の発生回数をまとめたものです。
発生年 | M5.0~M5.9 | M6.0~M6.9 | M7.0~M7.9 |
2018年 | 71 | 15 | 0 |
2019年 | 62 | 15 | 0 |
2020年 | 68 | 10 | 2 |
2021年 | 75 | 17 | 1 |
このように、年間通して発生する地震はマグニチュード5以下の地震がほとんどです。平均すると、マグニチュード6クラスの地震は1ヶ月に2回程度、M7クラスの地震は年に1回程度発生していることがわかります。
地震が発生したとき、震度だけでなくマグニチュードにも着目すれば、「大きな規模の地震が近い場所で起きたが、自分の地域の揺れは小さかった」など様々なことに気付くことができます。すると、「地震が起きても揺れづらい地域(地盤)なのかもしれない」逆に「小さな地震でも大きく揺れる地域(地盤)かもしれない」などのことがわかるようになります。
今後はマグニチュードにも注目し、地震について理解を深めてみてください。