JESEA Blogではこれから先、
いつ起こってもおかしくはないといわれる大地震に対し
今から備えるために、避難や防災に役立つ知識をご紹介しています。
今回は、大きな地震が発生して
避難生活が始まった際のメンタルケア、
精神面を健全に保つ方法についてご紹介します。
厚生労働省のまとめた資料に、
『自治体の災害時 精神保健医療福祉活動マニュアル』があります。
今回はこちらに記載された内容をもとに説明をします。
災害が発生し、様々な被害が発生する中、
普段とは異なる生活を強いられると、
肉体的な疲労や負担はもちろん、精神面にも大きな影響があります。
実際に、近年の災害時にはどういう対応がなされているかを説明します。
1995年の阪神・淡路大震災以降、
被災者の精神・心理への社会的ケアは行われてきたものの、
あくまでも個人や福祉関係者による実践にとどまっていました。
2003年に共通認識情勢のため、ガイドラインが作成されています。
2011年に発生した東日本大震災で
『災害精神保健医療マニュアル』が作成されたものの
災害直後の支援機能が十分に果たせなかったことを踏まえ、
2013年には、災害の急性期から精神的な医療ニーズに対応する組織
「災害派遣精神医療チーム」が設立されました。
この精神医療チームは2014年以降多くの大規模災害で支援活動を行っています。
このように、災害時における精神へのケアは
重要かつ必要なものとして支援策が用意されています。
まずは「災害時には精神面に負荷がかかる」ことを認識し、
自分でも精神のケアを十分に行えるよう準備しつつ、
必要な時には支援機関の手を借りられるようにしておくことをおすすめします。
災害時の精神面・メンタルへの負荷
災害時におけるメンタルヘルスへの影響には、
「一次被害」と「二次被害」があります。
「一次被害」は災害そのものから受ける被害であり、
怪我や負傷、ショックなどがあげられます。
東日本大震災で多く見られた、津波への恐怖心やショック、
津波が迫る映像を目にしたことによるショックも一次被害に含まれます。
「二次被害」としては、避難した先の環境による
感染症や既往症の悪化、トラウマ、地域からのサポートの消失により
個人のメンタルヘルスが悪化することがあります。
具体的には、以下のような心理的変化をたどると言われています。
・超急性期(発災後数日)
被災の心理的衝撃で茫然自失となる。恐怖・衝動的行動・虚脱状態がみられる。
強い不安、緊張、過敏反応、不眠、拒食などが生じる場合がある。
・急性期(数日から数週間)
集団で助け合おうとする心理が働く。
相互に助け合う活動に積極的になったり、それらの活動で幸せを感じたりする。
・中期(一か月~数か月)
幻滅期とよばれ、災害で失ったものや復興の困難さに直面する時期。
うつ、自責の念や喪失感が生じる。
被害の差により理不尽だと感じたり、怒りを覚える場合もあれば
自責の念に襲われる人もいる。
・復興、再建期(数か月以降)
全体的な災害支援が終了していき、多くの被災者は心理が正常化する。
ただし一部の被災者は生活の大きな変化を余儀なくされたり、
地域のコミュニティや友人関係が破綻する等して二次的ストレスが生じるケースもある。
全体的には収束にむかうため個々の問題に目がむきづらく、
個人の深刻な心理的問題が見落とされたり、対策が後回しになったり、
問題が個別化していく(個人差が大きくなっていく)場合がある。
災害によって精神面への影響が特に大きいとされているのが、
未成年、高齢者、女性(特に妊婦)、社会的弱者(貧困層・マイノリティ)
既存の精神障がい者と支援者です。
災害救援者(消防士や警察官、救命救急士、自衛隊員)や
支援者(医師、看護師、保健師、精神保健福祉士や自治体職員)も、
災害時の活動義務から疲労がたまりやすく、燃え尽き等のストレスが生じる辞令もあります。
まずはこうした状況で精神面への負荷がかかることを理解し、
自分が精神面で不調を抱えた時に、
「おかしいことではない」と理解し対処することが必要です。
「みんな我慢しているのだから」と放置したり我慢をすると状態が悪化することもあります。
精神面へのケアを行う支援活動が行われている場合には、
自分の心身の状態を抱え込まず相談したり、支援団体の手を借りることを検討しましょう。
防災への備えの中に、
自分の精神を回復させるものを用意しておくことでもある程度対策が出来ます。
非常食は自分の好きな味のものにする、好きな小説や作品を手元に置いておく、
気に入っている寝具を避難所に持っていくなど、
可能な限り避難生活でストレスを軽減できるよう意識することをおすすめします。
今回は、大きな地震が起きた際の
メンタルヘルスや精神面の負荷についてご紹介しました。
次回も災害や避難について、役立つ情報をお届けいたします。