今回は、意外と知らない「震度」と「マグニチュード」の違いについてお話します。
震度とマグニチュードの違い
震度とマグニチュードの違いについて考えるとき、よく使われるのが「揺れの度合い=震度」「地震の規模=マグニチュード」という説明です。一見すると「揺れの度合いも規模も同じ」に思えてしまいますが、実は地震の規模(大きさ)と、実際に揺れる度合いは違います。
下の図をご覧ください。
マグニチュードは地震の規模、つまり「地震そのものの大きさ」を表しています。当然、マグニチュードが大きくなればなるほど、地震の被害や揺れる度合いは大きくなる可能性が高いです。
しかし、地震は地下深くの様々な場所で発生します。地震の規模、つまりマグニチュードが同じでも、より地表に近い(浅い)場所で起きた地震は揺れの度合いが大きくなりますし、地下深くで起きた地震であれば地表の被害は少なくなる場合もあります。
また、同じ深さで同じ規模の地震が起きたとしても、地盤が堅固であれば被害が軽減される場合があり、対して埋立地など比較的地盤が緩い地域では、マグニチュードが小さくても揺れが大きくなるケースがあります。
そのため、単純に「震度の大きい地震は、マグニチュードも大きい」とは言えません。地盤の固さ、地震の深さ、その他さまざまな影響によって、揺れの度合い(震度)は変わってくるからです。
「震源の真上が一番揺れる場所」とお考えの方も多いかもしれませんが、それは正確とはいえません。震源が地下の浅い場所であればその通りなのですが、過去の事例を見てみると一概にそうとはいえない場合もあるのです。
たとえば、2015年5月30日に発生した小笠原諸島西方沖地震。
この地震の震源は地下約680kmの地点にありました。
※地震の震源は浅くて10km以下、 通常30~50kmの場合が多いのですが、地下100km以上の場所になる場合もあります。
もちろん、震源に近い地点(東京都小笠原村)では最大震度である震度5強を観測しました。
しかし同時に、震源から遠く離れた神奈川県の二宮町でも同じ震度5強の揺れが発生していたのです。
また、同じく震源から1000km以上離れた埼玉県の鴻巣市・春日部市・宮代町でも震度5弱を記録しています。つまり、実際に地震が起きたときに揺れが発生するのは震源の真上だけではない、ということです。
※特に震源の位置が深ければ深いほど、震源の真上から離れた地点でも揺れが発生する傾向にあります。
震度の区分とマグニチュードの違い
気象庁が発表している震度は現在、震度0~震度7の10階級となっています。マグニチュードは「1増えると約32倍のエネルギー」となります。マグニチュード5の地震はマグニチュード4の地震の約32倍、マグニチュード3と比較すると約1,000倍もの大きなエネルギーを持っていることになります。
マグニチュードと震度は混同されてしまうことがありますが、「マグニチュードは地震そのものの大きさ」「震度は揺れの度合い」と考えることが大切です。