JESEA Blogではこれから先、
いつ起こってもおかしくはないといわれる大地震に対し
今から備えるために、避難や防災に役立つ知識をご紹介しています。
災害時の防犯:空き巣・窃盗
過去の災害時に発生した犯罪として
多いものは「空き巣・窃盗」です。
平成28年3月に警察庁が作成した資料によると
東日本大震災においては
震災後の1年間、
無人になった家屋や店舗に対する窃盗、
コンビニATMを狙った窃盗が多発していました。
特に原発周辺地域において
空き巣をはじめとする侵入窃盗が大幅に増加しています。
警察庁のまとめによると
2011年3月から6月末までの期間で
岩手・宮城・福島の3県における
コンビニや金融機関のATMを狙った
窃盗の被害総額は約6億8440万円となっていました。
窃盗事件は56件(うち未遂7件)であり
件数・金額ともに6割以上が福島県を占めています。
原発事故の影響により、ATMに残ったままの
現金を回収するのが遅れてしまったことが
被害拡大の原因とみられています。
ATMだけではなく、無人となった民家や商店を狙った空き巣についても、
震災前年と比較し約1.5倍の件数が発生していました。
このうち原発20キロ圏内での被害は
前年比19倍以上の発生件数となっています。
そのため、震災発生から約3か月後の
平成23年(2011年)6月2日には
約300人体制の特別警備隊を投入し警戒にあたっていました。
今後、大きな地震が発生した際にも
無人となった家屋や商店を狙った
空き巣が発生する可能性は十分にあります。
避難所へ避難する際や
仮設住宅での生活を始める等で
自宅を離れることになった場合は、可能な範囲で
空き巣や窃盗への対策を行うことが必要です。
震災後に行うことができる防犯対策としては
・割れた窓ガラスは外から見えないよう目隠し
・ドア枠がゆがんで閉まらない扉は
ドアチェーンや南京錠で施錠
・部屋の電気をつけたままにする
・貴重品は常に持ち歩く
以上があげられます。
震災前に実施できる防犯対策の例は下記です。
・補助鍵や防犯鍵の設置
・電池タイプの人感センサー付き防犯灯の設置
・防災用備蓄にはトランクルームや貸倉庫
貴重品の管理には貸金庫等を利用する
都市防犯研究センターの調査によると、
空き巣の約17%が2分以内に侵入を諦め、
約51%は2分~5分以内に侵入を中断します。
そのため、補助鍵等の設置された
「侵入に時間のかかる」家屋は
空き巣被害に遭う可能性を低くすることが出来ます。
震災前に補助鍵等を設置し、
震災後、ドアや窓が損傷した場合は
目隠し・南京錠の設置などを行い
家屋への浸入を防ぐようにしましょう。
また、トランクルームや貸倉庫等を利用し
家よりも安全な場所に貴重品を保管しておく方法もあります。
家が倒壊したり火事に巻き込まれた場合でも
貸倉庫やトランクルームを利用することで
貴重品を紛失するリスクを下げることができます。
その際も、火災に巻き込まれる可能性の低い場所や
火災保険等に加入できるオプションを利用すると
より安心です。
災害時の防犯:詐欺
過去の事例を参照すると、
東日本大震災においては
被災地周辺だけではなく日本全国で
震災に便乗した詐欺事件が発生していました。
警察庁がまとめた資料によると
震災後から2016年までの約3年間で、
震災に便乗した詐欺事件は204件確認されており
被害総額は約19億900万円でした。
具体的に発生した事例としては下記があげられます。
・被災者への義援金として金品をだまし取る詐欺
・屋根の修繕・住宅電気設備の点検が必要と称して
高額な修理費・点検費を請求する
・放射線の測定・除染等と説明し物品を販売しようとする
被災地周辺では主に「修理費・点検費」の高額請求に注意し
被災地から遠く離れた場所においても
義援金詐欺や震災を利用した商法に注意が必要です。
東京都の発行している『東京防災』においても
震災後、「ガスや電気の点検」と称して
突然訪問してくる相手には注意するよう呼び掛けています。
訪問者については身分証の提示を求める、
安易に工事や修繕を承諾しない等の対応をおすすめします。
東日本大震災においては、
仮設交番の設置や、
仮設住宅に「警察官立寄所」を開設する等で
治安維持を行っていました。
今後大きな地震に巻き込まれた際には
積極的にこうした施設を利用することも検討しておくとよいでしょう。
今回は、震災に関連して発生する犯罪と
その対策について説明しました。
次回も防災に役立つ情報をお届けしていきます。