Opinion

地震や災害への備え:災害関連死を防ぐ

JESEA Blogではこれから先、
いつ起こってもおかしくはないといわれる大地震に対し
今から備えるために、避難や防災に役立つ知識をご紹介しています。

今回は、過去の災害でも発生している
「災害関連死」と、それを防ぐ方法について
参考になる情報を紹介します。

災害関連死とは

災害関連死とは、
地震の揺れによる建物の倒壊や火災、
津波などの直接的な原因ではなく
災害によって負った怪我や
避難生活が続くことによる健康状態の悪化で
亡くなってしまうことを指します。

過去の災害、特に2016年の熊本地震では
「災害関連死」による死者は218人で
地震による直接の死者数を大きく上回っていました。

熊本地震による「災害関連死」の約8割は
70歳以上の高齢者であり、
特に持病のある高齢者は「災害関連死」のリスクが高いため
注意が必要です。

災害関連死の原因

災害関連死の死因として最も多いのは
肺炎・気管支炎や脳卒中であり
これらが全体の約6割となっています。
呼吸器や循環器に持病のある高齢者は、
避難生活中特に配慮が必要です。

また、災害関連死は高齢者に限ったことではなく
避難生活による疲労が原因とみられる交通事故により
比較的若い世代の死者も確認されています。

参考までに、
内閣府が作成した『災害関連死について』に記載のある
平成28年熊本地震で確認された
災害関連死の死因をいくつかご紹介します。

・避難中の車内で、疲労による心疾患(74歳女性)
・地震後の疲労等による心不全(78歳男性)
・慣れない避難所生活が原因で発症した肺炎(83歳女性)
・地震による疲労が原因と思われる交通事故(32歳男性)
・エコノミー症候群(43歳女性)
・地震による栄養障害、持病の悪化(88歳男性)
・地震のショック及び余震への恐怖が原因で、急性心筋梗塞(83歳女性)

特に熊本地震では「地震のショック、余震への恐怖による肉体的・精神的負担」が
災害関連死を引き起こした要因として最も多くみられました。

また、東日本大震災においては「避難所生活による肉体的・精神的疲労」や
「避難所などへの移動中に生じた肉体的・精神的疲労」が
災害関連死の要因として多いものでした。

しかし、災害関連死は「避難所」での生活や移動だけで生じるものではありません。
自宅避難・在宅避難での生活中にも
多くの人が災害関連死で亡くなっています。
熊本地震においては、災害関連死者の約4割が自宅で亡くなっており
「自宅で避難生活を送れば安心」というわけではありません。

自宅で避難生活を送る場合でも、
被災直後・避難生活中は普段以上に
心身に負担がかかっており
特に高齢者については災害関連死のリスクがあることを
把握しておくことが重要です。

災害関連死の対策・予防

東京都の発行した「東京防災」では
災害関連死を防ぐためには
「TKB」が重要とされています。

「TKB」は
「トイレ」「キッチン」「ベッド」の頭文字であり
清潔なトイレ、栄養のある食事に加え
就寝環境の整備を推奨するものです。

災害関連死は、
被災直後の心身疲労や
栄養状態の悪化から
引き起こされることが多いため
心身疲労の回復や栄養状態の改善に努めることで
関連死のリスクを抑えることができます。

こまめに休憩をとり、眠れる時には寝具を整えて深い睡眠を得ること
水分は多めに補給することを心掛け、
可能な限り栄養バランスのよい食事をとることで
心身の疲労を回復できれば安心です。

そのためにも、防災グッズや食料の備蓄については
平時から可能な限り様々なものを豊富にそろえておくことで
災害や避難生活での疲労を軽減できるようにしましょう。

持病のある方は、持病が悪化しないよう
常備薬や内服薬も
避難グッズにいれておくことを忘れないようにしてください。

特に、災害関連死の中でも注意が必要なのは
エコノミー症候群で、
避難所や車中泊での避難中に発生することがあります。

食事や水分が不足している状態で
狭い場所に長時間、同じ姿勢でいると血行不良が発生し、
血液が固まりやすい状態となることがあります。

そうして脚の血管などで生じた血栓が
肺や心臓などの血管に詰まることで生じるのが
エコノミークラス症候群です。

これを防ぐために、
長時間同じ姿勢でいることは避け
水分をこまめにとること、
また軽い体操やストレッチ等を行うこと
眠る時は足を上げて寝ることが推奨されています。

災害関連死を防ぐためにも
被災直後は特に身体をいたわること、
そのためにも必要な備蓄や防災グッズは
今のうちから豊富に備えておくことをおすすめします。

今回は、災害関連死の事例と予防法について解説しました。
次回も防災に役立つ情報をお届けしていきます。

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