今年は関東大震災の発生から100年を迎える節目の年です。
これから先、いつ起こってもおかしくはないといわれる大地震に対し
今から備えるために、
地震や災害に遭ったときの避難先について
「避難所」や「避難場所」の違いや、
状況別の避難先や判断目安についても説明していきます。
避難所と避難場所の違い
まず、災害等が発生した場合に「避難」する場所にはいくつか種類があります。
そのなかでも混同されがちなのが「避難所」と「避難場所」です。
東京都の定義によると、避難所と避難場所の違いは以下の通りとなっています。
結論から説明すると、
「避難所」は災害で自宅に戻れなくなった人が「避難生活」をする場所(屋内)
「避難場所」は災害直後、火災や津波から逃れるために「避難」する場所(屋外)
となっています。
つまり、災害が発生した直後は「避難場所」や
「一時集合場所」に避難して身の安全を確保し
その後、自宅での避難生活が困難となった人が「避難所」で避難生活をする、
といった形で活用することになります。
しかし避難生活は、必ずしも避難所で行う必要はありません。
災害時には、被災者に対して
避難所の数が不足することが予想されている状況であるため
自宅が無事であったり、親戚・友人宅へ避難できる状況であれば
避難所を利用せず避難生活を送ることも推奨されます。
ただし、災害時の支援物資等は「避難所」に届き
避難所で被災者に配布されることが多いため
自宅避難を検討する場合も、避難所の場所を把握しておくことは大切です。
また、高齢者や障がい者、妊産婦や乳幼児など
一般の避難所生活では支障をきたす要配慮者に対して、
特別の配慮がなされた避難所のことを「福祉避難所」と呼びます。
東京都内には約1,600か所が指定されています。
一般的な避難所へと避難したあと、その避難所では生活が困難となった方を対象としているため
二次避難所と呼ばれている場合もあります。
一般の避難所は、公民館や小中学校などの公共施設が指定される場合が多いのですが
福祉避難所は、上記の公共施設にくわえ
特別養護老人ホームや、障がい者支援施設などの民間施設が指定される場合があります。
高齢者や、障害をもつ方が家族に居る場合は、
居住している場所の近くに「福祉避難所」や「二次避難所」があるかどうか
各自治体のハザードマップや防災マップ等を活用し、確認することをおすすめします。
避難場所については、各自治体によって呼び方がすこし異なる場合もあります。
災害対策基本法では「緊急避難場所」とされているため
ハザードマップにその名称で記載されていることもあれば
単に「避難場所」または「避難地」「指定緊急避難場所」と呼ばれている場合もあります。
どのような場合でも、
基本的には火災・水害などの被害が拡大して
生命に危険が及ぶような場合に、緊急的に避難する場所のことを指します。
一般的には大きな公園などが指定されているため
災害などの状況が落ち着けば、そこから自宅や避難所など
適した避難場所に移動することになります。
一時集合場所と一時避難場所の違い
自治体によっては、ハザードマップに
「避難場所」「集合場所」と名前の付いた場所が存在することがあります。
こちらは基本的に「避難場所」と同じような場所で
先述した通り各自治体で呼び名が異なる場合が多くあります。
お住いの自治体のハザードマップや防災情報を確認し、
どのように呼ばれているか把握しておくと、緊急時にどこへ逃げるか判断しやすくなります。
ただし「広域避難場所」と名前の付いた場所は、多くの自治体で
「主に震災時に大規模な火災(延焼)が発生した場合に
火災から身を守るために避難する場所」と定義されています。
特に首都圏で直下型地震が発生した際には
多くの家屋が大規模な火災・延焼に巻き込まれることが予想されているため
お住まいの地域の「広域避難場所」がどこにあるのか確認しておくと
災害時に避難する際、行動がスムーズになります。
災害時にけがをしたら「緊急医療救護所」へ
ハザードマップには、主に病院施設などに
「緊急医療救護所」と記載されている場合があります。
これは、大規模な災害の際に発生する多くの負傷者に対応するため
発災後約6時間~72時間の間、緊急の医療救護活動を行う場所のことです。
災害時にけがをした場合、近隣の「緊急医療救護所」へ向かいましょう。
「緊急医療救護所」が設置されている期間(災害発生後72時間以内)は
診療所やクリニックに所属する医師やスタッフは原則として「緊急医療救護所」で
患者の対応をしているため、医療機関に訪れても通常の診療は受け付けてくれません。
避難所や避難場所の確認と同時に、万が一にそなえ
「緊急医療救護所」の場所は把握しておきましょう。
また、人工透析を受けている方を診療する場所として
「災害時透析対応病院」等が記載されている場合もあります。
こちらも自治体ごとに記載内容や対応範囲が異なっていますので
かならずお住いの地域のハザードマップや防災情報を確認するようにしてください。
④ハザードマップ掲載の避難所でチェックすべきこと
ハザードマップに掲載されている避難所や避難場所には
「災害種別」が定義されていることが多いです。
こちらはかならずチェックするようにしてください。
なぜなら、災害の発生時、避難場所はどこでもいいわけではなく
災害ごとに適した避難場所や避難所が異なっているからです。
たとえば水害発生時は「水害時の避難所」に指定されている避難所に避難すべきです。
別の避難所では、河川に近いため、
水害時は避難所として解放せず、地震時のみ機能する施設もあります。
近隣の避難所について「○○は避難所だから」とだけ覚えていると、
災害によっては使用できない、避難すべきではない場所となっていることもあるため
避難所の場所を確認する際は、必ず「災害種別」もあわせて確認するようにしてください。
災害種別は主に地震・水害・がけ崩れなどがあります。
今回は、ハザードマップや防災マップなどに記載されている
避難所や避難場所の定義や違い
避難する際に考慮すべきことなどを説明しました。
来週は年始のため、掲載をお休みいたします。
来年以降も引き続き、
災害からの避難に必要な情報を提供していく予定です。