JESEA Blogではこれから先、
いつ起こってもおかしくはないといわれる大地震に対し
今から備えるために、避難や防災に役立つ知識をご紹介しています。
今回から、災害発生時の避難生活で不足しがちなものの
準備や備えを忘れがちなものについてご紹介します。
今回は、口内衛生の保ち方と、
避難生活で口内衛生を守るために
必要な備えについて説明していきます。
口内衛生は何故必要か
大きな災害が起きた後の避難生活において、
口内衛生を保つことは非常に重要です。
口内衛生を保つことができずに
口腔内に細菌が繁殖した結果、
誤嚥性肺炎など呼吸器系の疾患につながるリスクがあります。
特に高齢者の場合、誤嚥性肺炎発症の可能性が高まります。
避難生活のストレスで体力や免疫力が低下し、
水分が少なく飲みこみづらい食事を続けることで
嚥下機能の低下と口腔内の不衛生が同時に生じることが原因です。
熊本地震では、災害関連死で亡くなった方の約29%が
呼吸系疾患によって命を落としており、
熊本地震で発生した災害関連死の死因では最多となっていました。
誤嚥性肺炎を防ぐためにも、
災害発生直後から口腔衛生を保つことが出来るように
防災の備えや非常持ち出し袋の中には
かならず口腔衛生を保つことが出来るものを用意しておきましょう。
口内衛生のために備えるもの
口内衛生のために備えておくと安心なものは
以下のようなものがあります。
・歯ブラシ
・コップ(紙コップ等)
・洗口液(マウスウォッシュ・うがい薬)
※水で薄める必要のないもの
・入歯洗浄材、保管ケース
・歯磨き粉、歯間ブラシ、デンタルフロス
・ウエットティッシュやガーゼ
・ミネラルウォーター
・歯磨きガム
水が少ない場合の口腔洗浄方法として、
日本歯科医師会が発表しているものを紹介します。
◆水が少ない場合
大さじ2杯分ほどの水を用意します。
歯ブラシを水で濡らして歯磨きした後、
コップの水をほんの少量ずつ口に含み、2~3回に分けてすすぎます。
歯ブラシが汚れたらティッシュなどでふき取るようにしましょう。
◆歯ブラシがない場合
ペットボトルのキャップ1~2杯分の水やお茶で
口全体に水分が行き渡るように
ブクブクとうがいをし、口をすすぎます。
ハンカチやウェットティッシュ等で汚れをふき取るだけでも
口内衛生を保つことにつながります。
◆入歯の手入れ
少なくとも1日に1回は外し、
ウェットティッシュやガーゼで汚れを拭きとることが推奨されています。
入歯(義歯)を洗浄できない場合、義歯を入れたまま洗口液を口に含み
口の中で義歯を洗うようにうがいすることでも
ある程度衛星を保つことが出来ます。
入歯は乾燥すると劣化するため、
水が確保できた場合は、なるべく水の中で保管しましょう。
水の入ったコップや、入歯ケースがあると保管しやすくなります。
水で湿らせたハンカチ等にくるんで保管することもできます。
◆水が使えない場合
ウェットティッシュなどで最低限歯の汚れをふき取るほか、
耳の下やあごのしたをさすたり揉んだりして
唾液腺をマッサージし、唾液の分泌を促すと良いでしょう。
また、口を大きく動かし口の体操をすることもおすすめです。
口内衛生を守る方法 まとめ
・食事はよく噛む(唾液の分泌を促し口の中の乾燥を防ぐ)
・入歯の手入れをする(入れたまま放置しない、一日に一回は外して洗う)
・うがいの水は少量でOK
・笑顔や会話で口の運動をする
(口の開け閉めをするほど口の運動になりストレスも軽減)
・大きなあくびで口や頬周りの血液循環を良好にする
・口腔衛生に不安があれば、
避難所や行政の相談窓口で歯科医師、歯科衛生士に相談
口内衛生は避難生活でおろそかになりやすく、
結果として誤嚥性肺炎や歯周病などにかかるリスクが向上してしまいます。
特に入歯は忘れてしまうことが多いため、
事前に予備のものや入歯ケース、洗浄剤など必要なものを
非常持ち出し袋に入れておくようにしましょう。
乳幼児や子ども用の口腔ケア用品も同様に、
使い慣れたものを持ち出せるよう準備をしておくと安心です。
口腔ケアグッズは支援物資として届く場合もありますが、
入歯や入歯ケース、子ども用の歯ブラシが手元に届くかは状況次第で
災害時に確実に支給されるかはわかりません。
歯周病がある人など、特別な配慮が必要な場合は
事前の準備を怠らず備えるようにしましょう。
今回は災害時の口内衛生について説明しました。
次回も災害時に役立つ情報をお届けしていきます。