日本は、8つのミニプレートに分けられます。 そして、地震は「断層」、つまり「線」が動くことで起こるのではなく、或る「塊」、つまり「ミニプレート」が動くことでその境界部にひずみが溜まり発生するのではないか…という仮説を立てるに至りました。それが、JESEA地震科学探査機構が提唱する「ミニプレート理論」です。今回は、ミニプレート理論で見る【南西諸島】の動向について、お伝えします。
ミニプレートで見る「南西諸島」
南西諸島は、大東諸島はミニプレート③、奄美諸島と沖縄本島の一部はミニプレート⑤、先島諸島はミニプレート⑥で構成されています。なお、沖縄本島の中央部は、ミニプレート⑤と⑥の境界に位置しています。プレートの境目は、ひずみが溜まりやすいため、注意が必要です。
次に、東日本大震災(2011年3月)以降に南西諸島で発生した最大震度5弱以上の地震を調べてみると、2015年5月22日に起きた奄美大島近海地震(M5.1、最大震度5弱)、2016年9月26日に起きた沖縄本島近海地震(M5.6、最大震度5弱)、そして2018年3月1日に起きた西表島地震(M5.6、最大震度5弱)の3回が確認できました。
基本的に南西諸島は地盤が堅固で、マグニチュードが大きい地震でも、揺れの指標である“震度”は低いといわれています。ですが、そのなかでも先島諸島は、大きな地震が定期的に発生している台湾と近い位置にあるため、台湾で起きる地震の影響を受けやすく、常に注意が必要といえます。
2018年の南西諸島において、異なるミニプレートに位置する電子基準点をピックアップし、地表の変動を調査した結果が下の図です。
ミニプレート③に該当する大東諸島・北大東は、Xの値はプラスに変動しています。これを水平の動きに直すと、北西方向に変動していることを意味します。
一方で、ミニプレート⑤に該当する奄美大島・名瀬と喜界1、ミニプレート⑥に該当する宜野座と石垣2のXの値はマイナスに変動しています。これを水平の動きに直すと、南東方向にゆっくりと変動していることになります。
大東諸島は北西方向に変動しているにも関わらず、その他の南西諸島は、正反対の南東方向へと変動している。これはつまり、両者は押し合っている状態にあるといえます。そこにひずみが溜っていくと、地震発生の可能性は高くなるため、注意が必要です。
※村井俊治著書『地震予測は進化する! 「ミニプレート」理論と地殻変動』より抜粋
JESEA 名誉会長
東京大学名誉教授
村井俊治